2019年2月2日(土)

変わる美術鑑賞 写真OK増加 主催者側 SNSで拡散期待

県天心記念五浦美術館で開催中の「追悼 小林恒岳展」の会場に掲示された「写真撮影OK」の案内表示=北茨城市大津町
県天心記念五浦美術館で開催中の「追悼 小林恒岳展」の会場に掲示された「写真撮影OK」の案内表示=北茨城市大津町

スマートフォンや会員制交流サイト(SNS)の普及で美術鑑賞の楽しみ方が変わってきた。主に著作権保護を理由に禁止されてきた作品の写真撮影が認められるようになり、インスタグラムなどSNSでの画像の拡散や共有も盛んになりつつある。茨城県立美術館を所管する茨城県教委文化課は「社会の変化に応じて各館が積極的に取り組んでいる。SNSによる情報発信で多くの人に関心を持ってもらい、実際に鑑賞してもらえれば」と来場者の増加に期待を寄せる。(報道部・勝村真悟)

■著作権

県内美術館の企画展でも見掛けるようになった「写真撮影OK」の案内表示。これまで写真撮影が禁止されてきた主な理由は、著作権を持つ作家や所蔵先の許可が必要なことや、混雑防止などが挙げられる。

すでに死去した作家の著作権は一定期間が経過すると消滅する。日本ではこれまで著作権保護期間が死後50年だったが、著作権法の改正で昨年12月30日から欧米と同様の70年に延長された。著作権が消滅した作品でも、撮影には所有者や所蔵する美術館の許可が必要になる。

近年、フラッシュなしできれいに撮影できるスマホやデジタルカメラの技術が進化し、SNSも普及している。フラッシュ撮影や三脚持ち込みの禁止など作品保護を条件に、許諾が取れた作品に限って撮影を認める企画展が県内でも増えている。

■敷居低く

県天心記念五浦美術館で開催中の日本画家、小林恒岳さんの追悼展は、著作権者の遺族の意向もあり59点全てが撮影できる。デジタルカメラで撮影した男性は「初めて知る作家でも写真を撮れることで親しみが湧くし、旅先の思い出になる」と感想。中田智則首席学芸員は「当館初の試み。ほかの鑑賞者の迷惑にならないようマナーを守って作品を記憶と記録にとどめてもらいたい」と話した。

「愛のヴィクトリアン・ジュエリー展」を開催中の県陶芸美術館は、SNSでの拡散を狙い、同展の撮影画像や感想などをSNSに投稿した来場者に、オリジナルグッズをプレゼントしている。

県近代美術館が昨年開催した印象派の名作を集めた特別展は、著作権保護期間中の作品を除く37点が撮影許可された。モネやルノワールの名品をスマホで撮影した男性は「敷居が高いイメージの美術館に入りやすくなる。画像はインスタグラムにアップしたい」と歓迎した。同館は次回の企画展でも一部作品の撮影を許可する予定だ。

■楽しみ方

水戸芸術館の現代美術センターも、数年前から企画展の写真撮影に対応している。作家の意向や企画展の趣旨などを考慮した上で撮影の許可・禁止を決定。世代を問わず撮影を楽しむ来場者が増えている。

笠間日動美術館の担当者は「いまや展覧会を企画する上で写真撮影は必須の検討事項」と話す。野外の彫刻庭園や分館の春風萬里荘は、自然美とアートを同時に楽しめる人気の撮影スポットになっており、紅葉シーズンは特に来場者の反響が大きく、SNSの投稿も多いという。

近年、県北芸術祭のような現代アートのイベント開催で、芸術を「体験」「体感」するという新たな楽しみ方が人気を呼び、美術館も「鑑賞」「撮影」が共存する時代を迎えている。

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