2019年2月13日(水)

有料化へ期待、戸惑い 斉昭の思想と異なる

偕楽園整備で質向上

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県が今秋から偕楽園の入園を有料化する方針を固めたことを受け、利用者や周辺の店舗などから戸惑う声が上がった。料金収入を生かした魅力向上策を歓迎する意見が多い半面、観光客を県内外で「区別」することには「創設した徳川斉昭の思想と異なるのでは」と疑問視する意見も聞かれた。

偕楽園の有料化については、これまで長く検討が続けられてきた。県都市整備課によると、記録に残る1988年以降、複数回にわたり県議会から有料化に向けた提案が行われてきたほか、観光関連団体からも要望が寄せられていた。

しかし、水戸藩9代藩主の斉昭は文武修行の場となる「弘道館」に対し、「民と偕(とも)に楽しむ」場として同園を創設し、ここから名前も取った。県はこうした歴史的背景も踏まえ、有料化には「慎重な判断が必要で、容易に踏み切れなかった」(同課)という。

有料化には好意的な意見が多い。同園で16日から開幕する「水戸の梅まつり」を主催する水戸観光コンベンション協会は「後世への伝承のためにも必要」と評価。その上で「有料化となれば、楽しんでもらえる新たなイベントや試みも考えていきたい」と意気込む。

水戸市も前向きな姿勢だ。高橋靖市長は「魅力向上につながるのであれば、納得いただけるのではないか」とコメント。

市は偕楽園と千波湖周辺の観光拠点化を進め、2023年には観光交流人口を現在の1割増の450万人に増やす方針を掲げる。このため、市観光課は「施設整備で観光地の質が上がれば、観光客や市民にとっても良いこと」と期待を込める。

一方、突然の有料化方針に戸惑いの声も上がる。06年の発足以降、イベントなどを通し偕楽園や弘道館の魅力を伝える活動を続けてきた「偕楽園公園を愛する市民の会」の湊正雄会長(79)は有料化に賛成しつつも、「県内と県外の観光客を料金の面で区別してしまうのは、斉昭公の思想と少し異なるのでは」と指摘する。

ほころび始めた早咲きの梅の花を見ようと、埼玉県川越市から夫婦で訪れた男性(70)も「きれいな公園を維持していくための有料化は当然だが、入園料は平等にしてほしい」と話した。

東門前の飲食店「黄門茶屋」店主の武士芳也さん(56)は「これまで無料だったので、県外の常連さんはどう思うか」と心配しつつ、「きれいになって観光客が増えてくれるのは歓迎したい」と、複雑な表情を見せた。 (前島智仁)



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