2019年2月28日(木)

茨城県補正予算案 常陸牛を県内加工 整備支援1億円 輸出拡大へ施設改修

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県銘柄牛「常陸牛」の欧米輸出拡大を図ろうと、茨城県は食肉処理を県内で完結させるための施設改修に乗り出す。県が出資する県中央食肉公社(茨城町)加工施設の全面改修に向け、設計費を含む「農畜産物輸出拡大施設整備支援事業」1億200万円を盛り込んだ2018年度最終補正予算案を27日、発表した。欧米輸出にはHACCP(ハサップ)などの高度な衛生管理基準を満たす必要があるものの現在、県内には対応する食肉加工施設がない。海外から牛肉がより安く輸入される環太平洋連携協定(TPP)対策の国補助などを念頭に、総額66億円規模の大型投資を見込む。

県畜産課によると、常陸牛の輸出はタイ、ベトナムに加え、16年度から米国向けを開始。本県食肉処理の中核施設を構える同公社はHACCPを取得しているものの、欧米向けのより高度なHACCP認証は設備の老朽化で取得できず、畜産農家は群馬県玉村町内の施設に肉牛を運搬して加工している。本県内で欧米輸出に対応するには公社施設の全面改修が必要となっている。

公社の加工施設は1979年開設で、更新時期を迎えている。2021年度に加工施設を新設し、“自前施設”で輸出拡大を図る。

現状では、群馬までの輸送費がかかる上、輸送による牛のストレス、常陸牛の格付けが得られなかった枝肉の売却が現地では難しい、などの問題があった。本県内で加工できれば効率化が期待できる。

常陸牛の輸出は14年度に開始。17年度はタイに12・1トン、ベトナム1・5トン、米国0・7トンで計14トンを上回り、輸出額も1億円を超えた。

常陸牛の生産頭数はここ数年、8千頭台後半で横ばいとなっている。子牛価格の高騰や牛肉相場の低迷が一因で、県などは生産頭数拡大やブランド化を狙っている。ただ、人口減で和牛の国内消費は将来的に頭打ちが予想される。県は販売・生産対策を強化し、その中で海外市場に活路を見いだしたい考えだ。18年10月に米サンフランシスコ、今年2月にニューヨークで常陸牛をPR。大井川和彦知事がトップセールスを行い、米国への販路拡大を目指している。

県が27日発表した最終補正予算案は、中小企業融資資金貸付金など企業向け融資実績が減少したことなどで、一般会計を195億2100万円減額し、補正後は前年同期比0・2%増の1兆1054億4900万円となった。

歳出ではTPP対策として土地改良事業に29億3600万円、担い手確保・経営強化支援事業に3億7700万円などを盛り込んだ。県債管理基金に52億円を積み増すほか、企業立地補助や茨城国体に向けた基金の積み戻しも行う。

計35議案を提出する予定。主な議案では、北茨城市と高萩市が計画するごみ処理施設建設に向け、北茨城市中郷町小野矢指の県有地32・8ヘクタールを8196万円で同市に売却する。

補正予算案は同日開会した県議会第1回定例会に3月4日、追加提出する。(黒崎哲夫)

★常陸牛

県内の指定生産者が肥育した黒毛和牛のうち、余計な脂肪が少ないことなどで判断する「歩留(ぶどまり)等級」3ランクの上位(A〜B)と、霜降りの入り方や色合いなどで決める「肉質等級」5ランクの上位(5〜4)を獲得した高級牛肉に与える名称。1976年に誕生した。



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