2019年3月22日(金)

茨城県内公共施設 広がる命名権導入 定着へ契約継続が課題

2009年からネーミングライツを導入している「ケーズデンキスタジアム水戸」=水戸市小吹町
2009年からネーミングライツを導入している「ケーズデンキスタジアム水戸」=水戸市小吹町

茨城県内自治体で施設命名権(ネーミングライツ)を導入する例が増えている。初めて命名権を募集した県は、公募した県有2施設に4月から新たな名称を付ける。水戸市や土浦市などの先行例では、陸上競技場や野球場、体育館などに企業名を冠した愛称が付けられている。スポーツ施設を中心に名称が定着しやすく企業PRにつながる一方、スポンサー契約が切れた後に名称を戻すケースも出るなど、導入や継続には課題も見えている。

■維持管理費に

県は今月、初めて命名権を募集した4施設のうち2施設にスポンサーが決まったと発表した。笠松運動公園屋内水泳プール兼アイススケート場(ひたちなか市)は「山新スイミングアリーナ」、県民文化センター(水戸市)は「ザ・ヒロサワ・シティ会館」にそれぞれ決まった。契約期間は4月からの3年間。契約金は山新アリーナが年720万円、ヒロサワ会館が年1千万円だ。

自治体側にとって命名権の導入は、スポンサーとの契約金を施設管理や維持に回せるのが魅力の一つ。スポンサーとの連携による事業展開も見込める。

水戸市は近年、矢継ぎ早の命名権設定に成功している。市立競技場は2009年、「ケーズデンキスタジアム水戸」となり、サッカーJ2水戸のホームスタジアムとして「Ksスタ」の愛称で親しまれている。このほか、水戸市民球場は18年から「ノーブルホームスタジアム水戸」に、県から移管され19年度に改築される東町運動公園体育館は「アダストリアみとアリーナ」にそれぞれ変更。青柳公園市民体育館も「リリーアリーナMITO」となる。 命名権について水戸市体育施設整備課は「施設のイメージアップにつながっている。契約終了後に名称が変わる可能性もあり、企業との連携継続が行政側の責任」としている。

■応募者なしも

募集に苦労するケースもある。4施設に設定している土浦市の場合、野球場は3社の応募があったものの、陸上競技場には応募がなく、再募集してケーブルテレビ局との契約にこぎ着けた。18年10月、市内11カ所の市営スポーツ施設に対象を拡大、今年3月に2カ所が決まった。残る9カ所は随時募集を続けている。

県も企業を直接訪問して売り込みを図ったが、決定2施設への応募はいずれも1社。他の2施設は応募がなかった。

インフラの老朽化が社会課題となる中、年数百万円に上る“財源”は施設維持に向けて魅力のようだ。担当者からは「導入へ調査、検討を進めている」(石岡市)、「大企業が命名してくれれば町のアピールにつながる」(五霞町)、「他市の事例を研究していきたい」(古河市)といった声が上がる。つくばみらい市は18年から、39カ所の施設に手広く募集をかける。

ただ、「小さい自治体の施設では広告効果が低く、募集しても集まらない」(鹿行地域の市担当者)と消極的な姿勢も垣間見える。高萩市は07〜08年ごろに募集した市民球場と体育館に応募がなく、その後は募集していない。

■抵抗感や不安

住民に長年定着した名称を変えることへの抵抗感や命名権が定着しないことへの不安もある。

つくば市では、09年8月から、市営サッカー場「フットボールスタジアムつくば」を「セキショウ・チャレンジスタジアム」と命名。定着が進み年250万円の収入も得る。一方で、13年7月から命名権を設定した「つくばカピオアリーナ」はスポンサーが契約満了となり、17年4月、名称を元に戻した。

常総市は、県内でいち早く08年度から市営サッカー場「吉野サン・ビレッジ」に9年間スポンサーが付いた。しかし4回目の契約更新に至らず、新たな企業を募集している。(黒崎哲夫)



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