2019年3月23日(土)

少子化、祭り手減少 お墓、スタイルに変化

遺骨を永代で預けられる合祀墓。156体が眠っている=笠間市福原の出雲大社
遺骨を永代で預けられる合祀墓。156体が眠っている=笠間市福原の出雲大社

少子高齢化や価値感の多様化などで、お墓のスタイルが変化しつつある。永代供養付きの合祀(ごうし)墓や樹木葬の需要が高まっている。日立市の市営霊園では、合葬式墓地の整備が進む。葬儀やお墓の研究者は「非婚、晩婚、少子化で祭り手が減少する墓は『もてあましの時代』となった。今後も加速するのでは」とみる。

■埋葬式も少人数
「継承する人がいない」「独り身なので、身内に迷惑を掛けたくない」-。

笠間市福原の常陸国出雲大社は昨年、墓石を建てて遺骨を埋葬する従来型の墓地の契約がわずか2件だったのに対し、永代供養付きの合祀墓は生前予約を含め136件に上った。樹木を植えた区画に遺骨を埋葬する樹木葬の契約も124件あった。

同大社権禰宜(ごんねぎ)の石井孝一さん(45)は「永代供養を希望する見学者や契約者が年々増えている」と明かす。以前は親戚など大勢で参列していた埋葬式も最近は少人数で執り行うことが増えたといい、「核家族化の表れでは」と話す。

石岡市の女性(91)は独身で子どもがなく、10年前から老人ホームで暮らす。「墓参りも大変。私の代で終わりにしよう」と、5年前には市内の共同墓地にあった先祖代々の墓を改葬。遺骨を同大社の樹木葬霊園に移した。

女性は「年を取ったらお墓参りにも行けない。管理の行き届いた所で永年、誰かに見守ってもらえるのは大きな安心」と笑顔で話す。

■飽和の市営霊園
こうした需要を受け、県内自治体でも合葬式墓地の建設が進む。日立市は、同市滑川町の鞍掛山霊園の一角に合葬式墓地を整備している。8月末には完成する予定だ。1500体分の納骨壇を地下に備え、遺骨を一定期間保存。その後、遺骨は合葬室に移され、専用の袋に入れられて永代的に管理される。合葬室は約4千体が保管可能という。

同市は2016年、市内外の市営霊園使用者と40歳以上の市民計3千人を対象に「お墓の継承」などを問うアンケートを行った。その結果、合葬式墓地のニーズが高かったことから、建設に踏み切った。

背景には、市内に五つある市営霊園が飽和状態という事情がある。計約7200区画のうち、既に約7000区画が販売済み。同市環境衛生課は「お墓の概念が変わってきている中で、従来型のお墓を整備するより、市民の方に効率的に使用してもらえる」と合葬式墓地の有効性を強調する。

同課によると、合葬式墓地の使用は市内在住者に限定。今年中に使用者を募集する計画だが、使用料は「従来型のお墓を購入するより、ずっと安価になる見込み」(同課)だ。

葬儀やお墓について研究する千葉大学大学院の金沢佳子特別研究員(69)=常陸大宮市=は「お墓は合祀墓や樹木葬など、形を変えても故人の思い出に会える場所。合祀墓や樹木葬の広まりは、他人と共同することに抵抗がなくなっている傾向の表れでは」と分析している。

(鈴木聡美)

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