2019年6月3日(月)

イオン、オゾン処理 霞ケ浦浄水に新技術 新施設、本年度着工へ

水道水供給コスト減

高度浄水処理施設の実験プラントで「イオン交換樹脂処理」を説明する職員=土浦市大岩田
高度浄水処理施設の実験プラントで「イオン交換樹脂処理」を説明する職員=土浦市大岩田

イオンとオゾンを使った国内初の高度浄水処理施設の導入に向け、県企業局の霞ケ浦浄水場(土浦市大岩田)に設置された実験プラントで、より高度な浄水技術の開発を目指し研究が続いている。新施設は、従来の活性炭中心の浄水処理より費用を約4割カットできる見通しで、厚生労働省の“お墨付き”を得て本年度着工する。さらに低コストでおいしい水道水を供給しようと、研究が続く実験プラントを見学した。(報道部・三次豪)

■一瞬で除去

「この茶色の粒を混ぜる前と後を見比べて。ほら、緑色のお茶が透明になったでしょ」。霞ケ浦浄水場の担当者は、イオンを帯びた樹脂の粒が水中に溶けた有機物を一瞬で吸着、除去する効果を、試験管の中でお茶を使って見せてくれた。

実験プラントは「イオン交換樹脂処理」「オゾン・促進酸化処理」と呼ばれる二つの最先端浄水設備で構成され、原水を引き込む管やオゾン発生装置などが所狭しと並ぶ。イオンを帯びた樹脂で原水に含まれる有害なトリハロメタンなどの物質を除去し、オゾンと過酸化水素の効果でかび臭などの原因物質を分解する仕組み。霞ケ浦浄水場の現状の浄水工程に、この新技術が組み込まれる。

実験プラントは実際の新施設より小型の装置で、さまざまなデータ収集と研究が発注直前まで続けられ、さらに効率的な浄水技術の開発が日々行われている。

■工期目標5年

県企業局は、2014年度から高度浄水処理施設の実証実験を開始し、昨年3月に厚労省の事業認可を取得。同8月から設備の実施設計に入った。本年度中に着工を予定し「工期の目標はおおむね5年、総事業費は約100億円」(同局)を見込んでいる。

同浄水場は、水源である霞ケ浦の水質改善が進んでいないことや、かび臭などの水質基準項目の追加で、活性炭の使用量が増加。活性炭の価格も年々高騰し、00年度に約10億円だった浄水処理費は14年度に1・5倍の約15億円に膨れ上がった。そのため、コストを抑制した効率的な浄水技術の開発が求められた。

イオン交換樹脂処理は東京都小笠原諸島の父島の浄水場で導入実績があり国内2例目。オゾン・促進酸化処理は日本で前例がなく、この二段構えの浄水処理は国内初めてという。

■世界も注目

新技術は、世界各国の上水道事業関係者らの注目を集める。昨年秋に50の国と地域から研究者ら約5500人が参加し、本県で開催された第17回世界湖沼会議では、ネパールやトルコ、アフリカ・東南アジア各国の研究者らが、自国への高度浄水処理施設の導入を念頭に、実験プラントの見学に訪れた。県企業局の担当者は「費用対効果などに質問が集中した。各国の関係者は効率性に興味津々だった」と振り返る。

国内初の高度浄水処理施設が完成して運転が始まれば、水道水供給の大幅なコスト削減につながり、国内外からの視察が多く訪れることも予想される。

県企業局県南水道事務所浄水課の岡本由紀夫課長は「霞ケ浦と同様、湖を水源とした浄水場を運営している自治体や、浄水施設の更新や上水道事業の着手を検討している国内外の関係者に、注目してもらえると思う」と手応えを語った。

★霞ケ浦浄水場

給水対象は土浦、阿見、龍ケ崎、取手、牛久、利根、つくばの7市町。計画給水人口は約32万2700人。

茶色で粒状のイオン交換樹脂を混ぜると一瞬で透明になったお茶(右)と普通のお茶
茶色で粒状のイオン交換樹脂を混ぜると一瞬で透明になったお茶(右)と普通のお茶


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