2019年6月12日(水)

水戸市 「たすけてカード」活用 訓練を全国モデルに 障害者の避難、官民連携

「たすけてカード」
「たすけてカード」

災害発生時に障害者の円滑な避難を実現しようと、水戸市は本年度、民間と連携し「たすけてカード」を活用した避難方法の確立に乗り出した。このカードは絵や短文を指さし第三者に意思を伝えるもので、声を出して救助を求めるのが難しい要配慮者用にNPO法人が作成。市や民間、学識経験者らで構成する市の新組織は、4月に訓練を実施し検証を進めている。官民連携による障害者の避難訓練は全国的に珍しく、より実践的に磨き上げ「水戸市モデル」として全国に広めたい考えだ。

市は2014年から、発達障害児らを支援するNPO法人「風の子」(同市双葉台、鈴木恵美子理事長)と協働で、障害者向けの避難訓練を実施。障害者側は「周囲への助けの求め方」、市側は「具体的に支援できる範囲」などの課題を掘り起こしてきた。

風の子は昨年、障害者が災害や事故に遭遇した際、周囲に提示することで困っている状況を知らせ支援を求める「たすけてカード」を作成した。「災害」「事件」「事故」など自身に起こったトラブルを指さしで伝えられるほか、交番への案内や市担当課への連絡依頼なども記載している。

鈴木理事長は「障害者が声に出して助けを求めることはとても難しい。カードを意思疎通のツールとして活用すれば、避難を円滑化できる」と話す。

市は4月、市内のNPO法人や障害者・高齢者の福祉施設、民生委員、有識者らで、新たな組織「たすけてパスポートプロジェクト」を発足。早速、発達障害児らとその家族15組が参加し、JR水戸駅で地震に遭遇したとの想定で避難訓練を同月末に実施した。参加者は駅南口の交番で警察官にカードを提示し、連絡を受けた市役所職員が障害者を誘導していくまでの流れを実践的に訓練した。

市防災・危機管理課の小林良導課長は「災害時の要支援者マニュアルは整備されているが、実際に訓練をすることで新たな気付きもある。障害者の特性に合わせた避難が行える」と訓練の必要性を指摘する。

避難訓練に参加した県地方自治研究センター研究員の有賀絵理さんは「行政と民間が連携した障害者向けの避難訓練は全国でも珍しい。障害者がどうSOSを発したらいいのか、行政もどんな支援ができるのか、あらためて確認する機会になる」と期待を込めた。

同プロジェクトは今後、障害者向けの避難訓練を重ね、災害や事故に遭遇した際に避難所まで移動するために必要な課題を洗い出していくほか、ワークショップなどを通して市民周知も進める。
(前島智仁)

「たすけてカード」を活用し実施した避難訓練=水戸市桜川
「たすけてカード」を活用し実施した避難訓練=水戸市桜川


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