2019年7月12日(金)

地域おこし協力隊10年 茨城県内22自治体 66人活動 ニーズ多様、定住課題

稲敷市の地域おこし協力隊4人。隊員の1人は「ボードゲーム」の普及で地域活性化を目指している=同市江戸崎甲
稲敷市の地域おこし協力隊4人。隊員の1人は「ボードゲーム」の普及で地域活性化を目指している=同市江戸崎甲

都市部の若者らが地方に一定期間移住して活性化に取り組む「地域おこし協力隊」が今年、スタートから10年を迎えた。茨城県内では4月1日現在、半数の22自治体で計66人が活動している。この10年で自治体の協力隊へのニーズは多様化し、まちの魅力発信から課題の解決まで幅広い。一方で、任期後の定住に結び付く支援策など、課題も浮き彫りになっている。(土浦つくば支社・松原芙美)

■右肩上がり

5月中旬、稲敷市上須田の古民家で4人の男性が草刈り機を手に黙々と庭の手入れをしていた。同市の地域おこし協力隊員の瀬谷勇さん(41)、水元翔太さん(27)、河合宗汰さん(27)、西川龍之介さん(28)。前任の隊員らが改修した田舎暮らしを体験できるお試し住宅「haneyasume」の管理を引き継いでいる。

地域おこし協力隊は、都市部の若者らが地方に移住し地域資源の発掘や定住促進に取り組む総務省の制度で、2009年度に始まった。任期は原則1〜3年。任期終了後は起業するなどして地域に定住することが期待されている。

隊員数は右肩上がりで増加し、18年度は全国約千自治体で計5359人。県内でも採用見込みを含め23自治体99人に上り、3年前の9自治体34人から2倍以上に増えた。本年度も東海村が新規募集を始めたほか、受け入れを検討している自治体もある。

■かやぶき職人も

自治体が協力隊員に期待する人材も幅広くなっている。ある担当者は「当初は地域の魅力発信や外の目から見た課題発見が中心だったが、今はそれだけではない」と話す。応募する若者側も、自治体の要望に応えつつ自身の興味関心のある取り組みで地域の活性化に貢献したいとの傾向が強まっているという。

石岡市は古民家のかやぶき職人を育てようと、「かやぶき技術の習得と活用」を募集条件にしている。同市で受け継がれてきたかやぶき技術は、国内最高レベルと評価される半面、職人の高齢化などで後継者不足が続いている。

協力隊が地域に残した効果や財産もさまざまだ。常陸太田市の元協力隊員で絵本作家のなるさん(本名・末石真弓さん)は、任期終了後もワークショップの講師を務めるなど市と関係が続く。このほか、協力隊のOBらが赴任地の祭りや催しに駆け付け、司会や運営を手伝う例は多い。

茨城町では16年度、協力隊員のアイデアで、商店街の空き店舗を改修し、子どもたちの学習を支援する寺子屋プロジェクトが始まった。町は18年度、事業を引き継いでくれる隊員を新たに募集した。

■任期3年の壁

一方で、制度の課題も見えてきた。常陸太田市の担当者は「全国に広まったこともあり、候補者がなかなか集まらない」と漏らす。多くの自治体が協力隊制度を導入したことで、人材の確保が年々難しくなっているという。ある隊員は「複数の自治体に応募し、受かった所からより良い条件の自治体に行く人もいると聞いた」と打ち明けた。

総務省が当初狙った「任期後の定住」も現実にはハードルが高い。ある自治体の担当者は「3年で定住のための基盤をつくらないといけない。任期後、移住先ですぐに生計を立てられるかは疑問」と指摘する。

隊員OBの中には地元企業に就職したり自治体職員に採用されたりするケースもあるが、「定住に結び付く仕事を3年の間に探して軌道に乗せるのは大変」との声も。茨城町の担当者は「起業だけでなく、起業後の支援も必要」と話した。



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