2019年7月13日(土)

千手観音、28年ぶり復活 盗難で不在、新たに制作 石岡・定光寺 14日、開眼式

千手観音の仕上げ作業を行う那花定慶さん=石岡市柿岡
千手観音の仕上げ作業を行う那花定慶さん=石岡市柿岡

檀家(だんか)らが待ち望んでいた神々しい千手(せんじゅ)観音像が、石岡市瓦谷の山麓にある臨済宗・定光寺(じょうこうじ)に、28年ぶりに復活する。地元の集落を含め120軒の住民らの長年の願いがかない、14日午前9時から開眼式が行われる。

もともとあった千手観音は、作者などは不明だが、鎌倉か室町時代の作とされ、地元集落にちなんで「石田の観音様」と呼ばれ親しまれていた。しかし、1991年に盗難被害に遭い、檀家らはその帰りを待ちわびながら、不在のままとなっていた。檀家でつくる護持会の集まりの中で、4、5年前から「何年たっても見つからない。何とかしたい。できればもう一度納めたい」との意見が持ち上がった。

思いは募り、話は一気に加速した。多くの寄付が集まり、以前修理を頼んだことのある同市柿岡の仏師、那花(なはな)定慶(じょうけい)さん(75)に、新しい千手観音の制作を依頼することが決まった。

昨年10月から、木曽ヒノキにのみを入れ、一つ一つを手彫りしていく作業が始まった。盗まれる前の千手観音の写真は残っており、それを基に、制作が続いた。そして徐々に完成に近づき、開眼式を控え急ピッチで組み立て作業を行っている。

厨子(ずし)は残っていたため、仏像の大きさも決まり、仏像の高さとされる足先から額の髪の生え際までが55センチに、台座を加えると80センチになった。那花さんは「皆さんの熱い心を受けて、制作を引き受けた。天衣(てんね)はつなぎ合わせることなく、1本の木材から彫り出したため、苦労した」と振り返る。

定光寺護持会の岡野力(つとむ)代表(71)は「待ちに待った千手観音の復活で、皆とても楽しみにしている。寺に安置してあった薬師様の方は県歴史館に預けてあり、しばらく観音様とともに不在だったが、地域の方々は下草刈りや清掃をして本堂を守り続けてきた。新しい千手観音には、檀家の思いを込めた写経を納めたい」と話した。(高畠和弘)



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