2019年8月14日(水)

《戦後74年》映画に参考の大和模型 青柳さん製作、笠間に展示 アルキメデスの大戦 ロケ地でイベント

筑波海軍航空隊記念館に展示されている戦艦大和の金属模型と作者の青柳智宏さん=笠間市旭町
筑波海軍航空隊記念館に展示されている戦艦大和の金属模型と作者の青柳智宏さん=笠間市旭町

太平洋戦争で撃沈された、当時世界最大級の戦艦大和の金属模型が、笠間市の筑波海軍航空隊記念館に展示されている。全長106センチ。細部まで精巧に再現された模型は6年もの歳月をかけて同市、不動産業、青柳智宏(としひろ)さん(63)が作った。公開中の映画「アルキメデスの大戦」(130分)の制作で参考にされ、公開に合わせたイベントが同館で開かれている。青柳さんは「模型を通して、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えたい」と話している。

模型は、構造材の一部を除いて全て手作り。子どもの頃からプラモデルに熱中していた青柳さんが2005年、市販の250分の1キットを購入したのがきっかけだった。それまで大和だけでも5艦手掛けていた青柳さんは、資料に基づいて本物に近い模型に挑むようになっており、部材の質感に納得できなかった。

このため、細部から作り直した。船体は短冊状にした0・1ミリの銅板を使い、びょう止めも再現。いかりやスクリューなどを金工で仕上げ、船首には純金製の菊の御紋を施した。青柳さんは「建造から沈没するまでの間、装備などが微妙に変化している。資料を基に最終形を目指した」と振り返る

製作には週5日、1日当たり2時間を費やし、完成まで約6年を要した。「波の抵抗を打ち消す球状船首をはじめ、直線と曲線が見事に融合した船体に究極の美しさを改めて感じた」と話す。

一方、映画は、大和建造を巡る海軍内の攻防を描いた同名漫画を、VFX(視覚効果)の名主と定評のある山崎貴監督が実写化。山崎監督は劇中で、大和が攻撃され、大爆発から沈没するまでの最期を圧巻のスケールで表現した。その細部まで再現するのに参考にしたのが、青柳さんの模型だった。

山崎監督が同映画のロケで同館を訪れた際、展示されている模型を見て絶賛。「日本一精巧な理想の大和。CG制作の参考にしたい」と話し、青柳さんの解説も受けたという。

また青柳さんと大和には少なからず因縁がある。大叔父が戦時中、広島県呉市の造船所で働いていた。大叔父は父に「工場で巨大な戦艦を造っている」と話したことがあるいい、青柳さんは「大和へのイメージが心の中に刷り込まれていった」と感慨深げだ。

青柳さんは「世界最強の戦艦と言われながら、何千もの命とともに壮絶な最期を遂げた大和のことを知ってほしい。巨額の国家予算を投じ、多くの日本人が建造に関わった大和は日本の魂そのもの。模型を通して、戦争の悲惨さと平和の尊さを伝えたい」と話している。

映画公開に合わせた同館のイベントでは、映画で使われた小道具など計約400点を展示している。9月末まで。問い合わせは笠間市フィルムコミッション(電)0296(73)5777
(沢畑浩二)

★戦艦大和

広島県の呉海軍工廠(こうしょう)で建造され、太平洋戦争開戦直後の1941年12月16日に完成した当時、世界最大級の戦艦。全長263メートル、基準排水量6万5千トン。最大射程40キロを超える46センチ砲を9門装備した。ミッドウェー海戦やマリアナ沖海戦などに参加、45年4月5日、海上特攻として沖縄への突入命令を受け、翌6日、山口県の徳山沖から出撃。同7日、東シナ海で米軍機に攻撃され沈没、乗組員約3千人が死亡したとされる。

映画「アルキメデスの大戦」の一場面(©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社)
映画「アルキメデスの大戦」の一場面(©2019「アルキメデスの大戦」製作委員会 ©三田紀房/講談社)


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