2019年8月19日(月)

石岡・井関地区の「大人形」 後継不足、維持ピンチ 6→2集落に

住民ら継承に懸命

代田集落で行われた「大人形」の制作=16日、石岡市井関
代田集落で行われた「大人形」の制作=16日、石岡市井関

石岡市井関地区に伝わる魔よけの習俗「大人形(おおにんぎょう)」の継承が課題となっている。わらや杉の葉で作る人形は「ダイダラボッチ」と呼ばれ、毎年作り替えられながら約230年間にわたり鋭い眼光で地域を見守ってきた。かつては霞ケ浦近くに位置する同地区の6集落で作られていたが、後継者減少や材料不足などから、ここ数年で次々に制作をやめ、今年新たな人形を作ったのは2集落のみとなった。伝統の民間信仰を守ろうと、小学校で制作体験を行うなど、地元住民らは集落の象徴の維持を懸命に図っている。

■230年の歴史

大人形は、江戸時代中期の1782〜88年にかけて起こった天明の大飢饉(ききん)後、疫病がはやり死者が出たため、魔よけや厄払いを願って作られ、その後に慣習化したとされる。高さは約2メートル。わら作りの体を杉の葉で覆ったこわもての男が、刀とやりを持つ姿をしている。毎年8月、集落ごとに制作され、風雨にさらされながら各集落入り口の道路脇などに一年中鎮座する。

今年は代田(だいだ)、長者峰(ちょうじゃみね)の2集落で制作された。お盆明けの16日夕、住民十数人ずつが集合。前年の大人形を解体した後、新しい稲わら、麦わらを束ね、土台となる丸太にくくりつけていった。紙やブリキ板に描いた顔部分を取り付け、杉の葉を1本ずつ刺して全身を覆った。竹や木で作った刀などを飾り、1時間半ほどで完成した。

■材料入手難

「代田の大人形」は市指定無形民俗文化財になっている。代田区長の渡辺孝一さん(66)は「何としても守っていかなければ、との思いで(住民が)毎年集まって来てくれている」と伝統継承に向けた関係者の意気込みを語る。

16日、長者峰の大人形作りを手伝いに訪れた市立関川小3年、狩谷諮立(しりゅう)君(8)は「作るのを見るのも参加したのも初めて。迫力がある」と目を輝かせていた。

ただ、少子化や人口減少による継承者不足や、伝統的な材料入手先の減少が立ちはだかっている。

長者峰など3集落で構成する中郷区の坂本静区長(71)は「麦わらは栽培農家がいなくなった。今は(同市内の)八郷地区の知人から調達している」と先行きを不安視する。

■伝統に誇り

地区内にある市立関川小では、子どもたちが地元の魅力を再発見する「ふるさと学習」で昨年から大人形制作を体験し、学校の玄関前に設置している。

制作は3、4年生が中心となり、地域の大人たちに教わりながら、独自の大人形を完成させる。今年は10月に同校で開く秋祭り「関川まつり」で作り替える予定だ。

市の計画によると、同小は少子化に伴い隣接する計3校と数年後に統合される予定。行事の後継者不足解消に向けた頼みの綱もピンチが続く。

行事は地域の歴史や文化を知る大きな手掛かりとなっている。飯塚信久校長は「子どもたちには、いつまでも地元の伝統に誇りを持ち続け、古里を愛する心を育んでほしい」と伝統の継承に期待を込めた。(高畠和弘)



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