2019年8月27日(火)

茨城町「こどもや」 老舗駄菓子屋 8月末閉店へ

店主藤田さん「生活の一部、寂しい」

31日に閉店する駄菓子屋「こどもや」=茨城町小鶴
31日に閉店する駄菓子屋「こどもや」=茨城町小鶴

茨城町小鶴の旧街道沿いにある駄菓子屋「こどもや」が31日で閉店する。昭和初期のレトロな建物で、子どもたちの憩いの場となっていた老舗。閉店を惜しみ、県内外から客が訪れる。“こどもやのおばさん”と親しまれてきた、2代目の藤田洋子さん(63)は「自分にとって生活の一部で、子ども相手に楽しかった。店を閉めるのは寂しい」と話している。

■レトロな外観
こどもやは、洋子さんの義母、清子さん(90)夫婦が昭和30年代に開店した。小学校に上がる前の長男を腎臓病で亡くし、「子どもに囲まれていれば、悲しみも紛れるだろう」と清子さんがへそくりを開業資金に充てて開いたのが始まり。洋子さんは約40年前に水戸市から嫁入りし、清子さんとともに、店を切り盛りしてきた。現在は洋子さん1人で店頭に立っている。

カラフルな絵と文字が手書きで描かれた看板を掲げた洋風の建物の中で、駄菓子や飲料、おもちゃ、文房具など幅広く扱ってきた。ティッシュやヘアピン、カミソリなども取りそろえ、「ここに来れば何でもそろう店だった」(洋子さん)。店の奥にはゲーム機も並んでいた。

かつて店には地元の小学生や中学生、高校生も集まった。「女の子はお菓子、男の子はゲーム目当てに来ていた」と目を細める。

大人も立ち寄って、洋子さんとの雑談に花を咲かせた。店を訪れた子どもたちが大人になり、親子で訪れることもあった。当時の面影が残る親もおり、「声を掛けると喜んでくれた。良く来てくれたと思う」という。ここ2、3年は、レトロな外観に引かれ、写真を撮ろうと県外からの来客も増えた。

■複雑な心境
同店は、横浜市の大家から建物を借り受けて営業してきた。6月末、取り壊しが決まり、閉店を決めた。

駄菓子屋を取り巻く環境も厳しくなった。同店も子どもの減少や、コンビニの台頭などの影響を受けた。大型商業施設ができ、地元商店街の活気もなくなりつつある。

洋子さんは「いつでも辞める覚悟はあった」。ただ、閉店が決まったとき、「辞めてもいいという気持ちと、あと1年やりたいという気持ちが半々だった」と複雑な心境だ。

現在、店内を整理しながら、駄菓子やおもちゃを販売している。客は懐かしの商品をじっくりと選びながら、時に笑顔を浮かべていた。

閉店を聞きつけ、親子3人で来店した同町の主婦、広瀬なおみさん(34)は「子どもと一緒に足を運んでいた。こういう雰囲気の店は(他に)ない」と話した。長男で町立青葉小2年、琉生くん(8)は「くじを当てたりした。閉まってほしくない」と残念がった。

同店は31日まで営業する予定。仕事一筋だった洋子さんは、閉店後、地域のボランティアに取り組むなどしたいという。長年過ごした店内を見渡し、「『こんな店があったんだ』と思い出話をしてくれると、ありがたい。こどもやを忘れないでほしい」と語った。(磯前有花)

「こどもやを忘れないでほしい」と話す藤田洋子さん=茨城町小鶴
「こどもやを忘れないでほしい」と話す藤田洋子さん=茨城町小鶴


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