2019年9月7日(土)

健全な水田に多様な生物 農研機構が全国調査

減農薬や有機栽培 環境への影響減確認

ナゴヤダルマガエル(「鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル」農研機構より)
ナゴヤダルマガエル(「鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル」農研機構より)

農研機構(つくば市)は、有機栽培や農薬を減らした栽培を行っている水田では、従来の栽培方法よりも動植物がより多く確認できることを本県を含む全国の野外調査で明らかにした。生物多様性に配慮した稲作が環境への影響を減らすことを初めて科学的に証明。農産物のブランド化や付加価値に貢献することが期待される。


農研機構は、環境保全型農業の生物多様性への効果を検証するため、無農薬・無化学肥料の有機栽培や、農薬・化学肥料を50%以上減らした特別栽培を行う水田と、行わない従来の水田の両方で生き物の種類や数の調査を調査・評価マニュアルに従って全国規模で行った。調査は2013〜15年の3年間、本県の約100カ所を含め全国1074カ所の水田で調査した。

その結果、藻類のシャジクモやシダ類のオオアカウキクサといった絶滅の恐れがある植物や、害虫の天敵であるアシナガグモ属のクモは従来栽培に対し減農薬栽培で1・5倍、有機栽培で2倍多かった。トノサマガエル属のカエルは有機栽培で2・5倍だった。アキアカネなどアカネ属のトンボ、サギを含む水鳥の個体数も有機、減農薬栽培で多いことを確認した。

ニホンアマガエルとドジョウ科は、化学肥料や農薬を減らすよりも、あぜの植生の高さや輪作といった個別の管理法が個体数に影響することが分かった。あぜの植物に除草剤を使うより、草刈りして植物が残る方がカエル類がすみやすく、冬でも周囲の溝に水を残せば生き残るという。

鳥類は有機栽培の水田面積が約1平方キロと広い場所では、サギを含む水鳥が多かった。

農水省は、環境保全型農業に取り組む農家に直接支払いする制度を実施。半面、国内の有機栽培の割合は1%に満たないともされる。収量が減ったり除草の手間がかかったりするのが理由。

農研機構の片山直樹研究員は「有機栽培や農薬節減栽培に取り組む農家が『生き物に優しい』と自信を持って言える、環境に配慮した農業をアピールすることができる」と話した。(綿引正雄)

チュウサギ(「鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル」農研機構より)
チュウサギ(「鳥類に優しい水田がわかる生物多様性の調査・評価マニュアル」農研機構より)


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