2019年9月19日(木)

新納豆菌を開発 茨城県、不良品対策へ活用 ウイルスに耐性

納豆菌について説明する県産業技術イノベーションセンター技術支援部の久保雄司主任=茨城町長岡
納豆菌について説明する県産業技術イノベーションセンター技術支援部の久保雄司主任=茨城町長岡

茨城県産業技術イノベーションセンター(茨城町)は納豆菌に感染するウイルス「納豆菌ファージ」に耐性を持つ新たな納豆菌を開発した。研究・開発に当たった農学博士で同センター技術支援部フード・ケミカルグループの久保雄司主任(38)らがまとめた論文が8月に日本食品化学工芸会の論文賞を受賞。新たな納豆菌は今後、納豆製造時の不良品対策への活用が期待される。

納豆菌ファージは納豆菌に感染して殺すほか、納豆の粘り成分を分解する酵素を作るため、納豆に混入すると糸が引かなくなる。

同センターは2012年に納豆メーカーが持つ県内八つの納豆工場でファージの感染状況を調査。工場内の壁や床、生産ラインなど160カ所からサンプルを採取し、4工場28カ所で見つかった。

新たな納豆菌の開発に当たっては、納豆は作れないものの、ファージに感染しない特性を持つ納豆菌と同じ種の菌を活用。従来の納豆菌と遺伝子を混ぜ合わせ、15年までに感染しない特性を取り込んだ納豆菌を育種した。

調査で見つかったファージは遺伝子情報が異なる複数のタイプがあったが、新たな菌はいずれのタイプにも耐性を示した。

研究開発に関する論文は同学会が18年に発行した論文誌に掲載された。

新たな菌は実用化に向け、今年から来年にかけてラットに耐性を持つ菌で作った納豆を食べさせたり、遺伝毒性試験を実施するなどして安全性を解析中。安全性を担保するデータをそろえた上で、希望するメーカーに提供していく。

製造現場でファージの感染が広がった場合、1カ月以上の長期にわたって不良品が発生することもある。従来は器具を熱殺菌するなどしていたが、通常の納豆菌に替えて一時的に耐性を持つ菌を使うことでファージの増殖が抑えられ、事態の早期収束が期待できる。

久保主任は「菌をうまく活用していただき、(納豆を製造する)企業の不安や困りごとを少しでも減らしていければ」と話している。(長洲光司)



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