2019年10月16日(水)

台風19号 生活再建へ懸命 ごみ置き場 山積み 常陸大宮 撤去作業に疲労の色

運び込んだごみを軽トラックからごみ置き場に降ろす人たち=15日午前11時24分、常陸大宮市野口、吉田雅宏撮影
運び込んだごみを軽トラックからごみ置き場に降ろす人たち=15日午前11時24分、常陸大宮市野口、吉田雅宏撮影

久慈川と那珂川に挟まれ、両河川で堤防6カ所が決壊した常陸大宮市では15日、被災した住民らが復旧作業に追われた。ごみ置き場はトラックが行き交い、避難所は自宅の片付けで疲れ切った表情の住民が集まる。給水所で水を求める人が並んだ。水害から3日目、被災者はそれぞれに複雑な日々を過ごす。

旧御前山中の校庭など市内3カ所に開設された災害ごみ置き場は、水浸しになった家財が山積みとなった。久慈川流域の黒沢一夫さん(64)は友人や親戚と協力し、40枚の畳や粗大ごみを20回以上にわたって運んだ。妻の由美子さん(57)は「今後の出費が不安。体は疲れているが眠れない」と顔を曇らせた。

久慈川に架かる富岡橋近くの縫製会社「砂川屋」は、工場内の生地やミシン約80台などが水に漬かり、従業員が後片付けに懸命だった。3代目の砂川豊朗代表(43)は「機械の3分の2は使えないだろう。今後のことは考えつかない」と唇をかんだ。同じ地域の鈴木康夫さん(45)は8年前に建てた自宅が浸水。洗面台や家電、棚などを廃棄処分した。「住める状態にいつ戻るのか、見当がつかない。天災だから仕方がないのかな」と肩を落とした。

那珂川の被害に遭った皆川孝子さん(63)家族は、慣れ親しんだ自宅を諦め、アパートに移り住む予定だ。床上約1・5メートルの高さまで水をかぶった。床下も水が深く染み込み、「乾かすのに何カ月かかるか。もう住めない」。水が引いて、家財道具などの撤去作業を始めた。救いは人の情けで「何も言わなくても親戚らが手伝いに駆け付けてくれた。ありがたい」と涙ぐんだ。

避難所は縮小されたが、身を寄せる住民は残る。市街地のおおみやコミュニティセンターは、畳が敷かれて就寝できる部屋が確保され、高齢者らが横になる。

平屋の自宅の中が全滅したという久慈川近くの横山富男さん(70)は「昼は自宅の片付けで、腕が痛くなった。ここに住めるだけでもありがたい」と感謝する一方、「今後、どうしていいのか分からない」と途方に暮れた。川を挟んで反対側に住む男性(67)は「両親は親戚の家、息子夫婦と孫は嫁の実家にいる」と妻と2人で泊まる。「2、3時間で目が覚めて熟睡できない。避難所でなく、家族だけで住める場所がほしい」と願った。

市内全域が断水していたが段階的に通水が始まり、日常生活が戻りつつある地域も増えた。ただ、中心街の堀江美章(みのり)さん(48)は「水は出るが、濁っているので使えない」と困った様子。「東日本大震災の時に比べ、電気が通っているだけまし」と苦笑いした。那珂川を見下ろす地区の軍司真希さん(38)も「2歳と3歳の子どもがいるので、心配で料理には使えない。復旧にどのくらいかかるのか」と不安そうに語った。(小原瑛平、湯浅奈実、蛭田稔)



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