2019年10月20日(日)

台風19号 被災の水戸 募る不安、眠れぬ夜 災害ごみ回収続く

水に浸かり、使えなくなった家の中の物を通りに出す住民男性ら=19日午前、水戸市岩根町
水に浸かり、使えなくなった家の中の物を通りに出す住民男性ら=19日午前、水戸市岩根町

台風19号による豪雨で那珂川やその支流が氾濫し、広い範囲で浸水した水戸市西部地区。被害から1週間たった19日も、浸水した住宅の清掃や沿道に積まれた災害ごみの回収作業が続いた。決壊した堤防や陥没した道路などは復旧工事が進む半面、避難所にはいまだ100人を超える住民が身を寄せ、募る不安で眠れぬ夜を過ごしている。

▽“空っぽ”の実家

「小学5年生の頃に越して来てから、思い出がいっぱい詰まった家なので残念」。同市藤井町の実家を見上げ、青山昌子さん(60)は肩を落とす。実家には母親(88)が1人で住んでいたが、被害を受け取り壊す予定だ。

築50年の平屋建て。床上1・6メートルまで水に漬かった。「これでは、もう住めない」。家具などは全て運び出され、“空っぽ”になった家の中を、寂しそうに眺めた。

2日間、水没状態が続いた同市岩根町。この日も住民が家の中から使えなくなった家財を運び出していた。沿道では災害ごみを回収するトラックや収集車両がひっきりなしに行き交っていた。

実家の片付けに来た男性(53)は「仕事だったので、やっと今日から始められた。回収してもらえなくなると困るので、大きな物だけでも早く出さないと」。実家は両親が亡くなった10年前から空き家。応援に駆け付けた知人らと共に、作業を急いだ。

▽重機使い畳積む

水戸市では、浸水による災害ごみを自宅前の通りに出せば、業者が回収してくれることになっている。浸水エリア全域で山積みとなっていたごみは徐々に減りつつあるが、同町など一部では回収が進んでいない地区も残る。

ただ、午前中いっぱい続いた雨は、作業の手を阻んだ。既に水を含んだ畳は、雨水でさらに重さを増した。「人の手ではとてもじゃないが持てない」。回収に当たっていた業者の男性は、重機を使って、ぬれた畳をトラックの荷台に載せていた。

天候悪化に備えた決壊堤防の復旧工事や、道路の補修も進んでいる。城里町と結ぶ国道123号は陥没していた場所が18日に解消、住民の交通インフラが戻りつつある。

3カ所で決壊した藤井川も、堤防の仮復旧工事が終わった。請け負った業者の男性は「暫定的な復旧だが、24時間の突貫工事で早めの整備ができた」と話す。

藤井川の決壊場所からさらに下流、那珂川との合流点となる飯富町の堤防では、漂着物が散乱、越水の爪痕が残る。この堤防に隣接する市の「北消防署飯富出張所」は約2メートルほど浸水し、司令装置などが使えなくなった。一時退避させた2台の緊急車両は既に戻り、防災拠点としての機能が戻りつつある。

▽疲れているのに

一方、避難所に身を寄せている住民は、長引く避難生活で疲労の色が濃くなっている。市立飯富中など3カ所の避難所で、現在も約120人が夜を明かす。

13日早朝から同校に避難している同市藤井町の梶山隆さん(65)は「今後の不安のためか、疲れているのに眠れていない」とこぼす。

33年前、1986年の那珂川水害でも被害を受けた自宅は「酷いありさま」で、解体を決断した。既に民間のアパートを契約し週明けには入居する予定といい、安眠できる暮らしを待ち望んでいた。(前島智仁)



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