2019年10月20日(日)

《記者コラム:双眼鏡》命という言葉の重み実感

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初めて大きな災害を目の当たりにしたのは8年前の東日本大震災。県立高校入試の合格発表があった翌日、新生活に期待に胸を膨らませていた時だった。

ひたちなかの自宅は停電、断水がしばらく続いた。とにかく食べられるものを食べ、川に水をくみに行った。日の出とともに起き、日の入りとともに眠りにつく生活を3日ほど送り、3月14日の夜、神奈川県内にある祖母の家に避難した。道中、車に揺られながら、「せっかく合格した高校には本当に通うことができるのか。もしかして日本はこのまま終わってしまうのではないか」と不安になった。

高校に入学してからもしばらくは度重なる余震があり落ち着かない日々。今まで当たり前だったことが当たり前でなくなり、自分がいかに恵まれていたかを痛感した。

記者生活が始まってちょうど半年。人生で2度目の災害に直面した。台風19号被害。

「命があっただけ良しですよ」。大きな被害を受けた水戸市岩根町で出会った男性は、浸水して泥だらけになった自宅を眺めながら静かに語った。「命」という言葉の重みをひしひしと感じた。

天災は一瞬にして人々の日常を奪う。災害現場の報道に関わって、生きていることの尊さを改めてかみしめている。衣食住が保証されていることはありがたいことなのだ。

平穏な日常を送っていると、当たり前すぎて忘れてしまう生きる喜び。8年前、祖母の家でようやく温かいお風呂とごはんにありつけた時の気持ちを、いつまでも大切にしたい。(水戸支社・佐藤珠貴)



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