2019年10月21日(月)

台風19号 那珂川 水戸・ひたちなか 無堤防3カ所氾濫 長年の訴え、間に合わず

【AD】

台風19号で氾濫した那珂川で、水戸、ひたちなか両市の無堤防区間3カ所からも水があふれ、住宅や田畑が浸水した。地元住民らは流域の首長と共に、河川を管理する国に対し築堤を繰り返し要望しており、不安が的中した形だ。国土交通省は河川整備計画に基づき20〜30年を目標に堤防の整備を進めているが、今後も記録的な大雨が降る可能性は高く、対策が急がれる。

那珂川下流の無堤防区間は、水戸市圷大野、中大野、小泉町など(約6・6キロ)▽同市下国井町、上国井町(約2・5キロ)▽ひたちなか市三反田、海門町など(約5・5キロ)。

東水戸道路の高架橋下に位置する三反田地区は豪雨から一夜明けた13日朝、那珂川から泥水があふれ、田畑や道路などが冠水した。上流約2キロ先の市下水浄化センター付近まで堤防は完成したが、下流側はいまだ全域が無堤防。右岸の水戸市圷大野、中大野、小泉町なども田畑が浸水し、河口付近の那珂湊市街地では床上浸水の被害が出た。

無堤防区間を巡っては1986(昭和61)年の那珂川水害で氾濫。これを機に水戸市など流域6市町で組織する那珂川改修期成同盟会は国交省に築堤を繰り返し要望してきた。

国交省が16年1月にまとめた那珂川水系河川整備計画に、三反田地区などの堤防整備が盛り込まれた。ひたちなか市によると、市内の無堤防区間約5・5キロのうち約3・5キロが14年度に事業化され、地質調査が続いている。河口までの残り約2キロは事業化にも至っていない。

計画全体の期間は約30年と長い。今回、事業化区間で浸水したひたちなか市関戸の自治会長、橋本正弘さん(78)は「地質調査の次の段階が見えず、国の動きは遅い。大規模災害が増える中、早く堤防を造ってほしい。自然は(堤防完成を)待ってくれない」と訴えた。水戸市の国田自治実践会副会長の石川幸一さん(61)も「那珂川の近くに住む市民も多い。後世のためにも国に対策を求めていきたい」と話した。

地球温暖化で今世紀末までに気温が2度上昇し、洪水頻度が倍増するとの前提で治水対策を見直すため、国交省は18日、新たな施策の進め方を社会資本整備審議会に諮問した。台風19号や西日本豪雨など大水害が相次ぐ中、有効な対策を打ち出せるか注目される。(斉藤明成、前島智仁)



次の記事:「つらいんです」 30年隠した障害

全国・世界のニュース

2020 年
 1 月 22 日 (水)

メニュー
投稿・読者参加
サービス