2019年10月21日(月)

台風19号 那珂・下江戸地区 浸水「伝わらない」 床上20棟・床下2棟 用水路から越水か

築150年以上の自宅が床上浸水した秋山静子さん。被害から1週間がたった今も片付けに追われた=20日午前9時46分、那珂市下江戸、鹿嶋栄寿撮影
築150年以上の自宅が床上浸水した秋山静子さん。被害から1週間がたった今も片付けに追われた=20日午前9時46分、那珂市下江戸、鹿嶋栄寿撮影

台風19号による浸水被害を受けた那珂川に近い那珂市下江戸地区。被害から1週間が過ぎても一部の住民は20日も片付け作業に追われた。住民は県内に同地区の被害の実態がなかなか伝わっていないと感じ、「下江戸地区の状況にも目を向けて」と声が上がった。

市によると、市内の建物被害件数(20日午後2時半時点)は床上浸水が住宅など20棟、床下浸水が住宅2棟。いずれも同地区の建物という。浸水は地区の北側に位置する農業用水路から水が越水したことなどが原因とみている。

「ここは大丈夫だろうと希望的な観測だった。あっという間に水が来た」。150年以上の歴史がある家を持つ秋山護さん(72)は振り返る。72年前に同地区が浸水したのを最後に、大きな被害を受けたことがなかったという。家具や家電は浸水のため廃棄し、自宅も壊して建て直す予定で「何もなくなりつらい」と肩を落とす。同級生や親類の協力を受け、片付けを進めている。「まだ整理は終わっていない」と作業にいそしんだ。

ボランティアで外国人に日本語を教えている小貫恵子さん(77)は自宅が床上浸水。一部家財のほか、指導用のテキスト10冊以上を捨てた。残ったテキストやプリントを日当たりのいい部屋で丁寧に乾かす。家族で家に入った泥を必死にかき出し、片付けが一段落した19日には筋肉痛とともに発熱に襲われた。「気が張っていたのかも」と苦笑し、「いろんなことが自分の中で入り交じり、どうしたらいいか分からなかった」と追い詰められた状況を振り返る。

災害当日、住民らは周囲に避難を呼び掛けたり、18日まで炊き出しを行ったりするなど水害発生から現在まで地元で助け合ってきた。自営業、小貫弘さん(57)は浸水が始まっていた13日午前3時ごろ、何人かで近所の住民を起こし、高台の家へと避難を促した。水は地区に一気に流れ込み、自宅は床上1メートルまで浸水。水が引くと、周辺にはごみや油まみれの泥が残された。片付けの大半は終わったが、元の生活に戻るには時間が必要だ。県内各地で被害を受けた状況は理解しているが、「(支援が)取り残されている気がする」と危機感を募らせる。

自宅が床上浸水した農業の男性(75)は「災害は忘れないうちにやってくる時代になった。今後、(災害の)回転も速くなる」と危ぶむ。国に対しても「弱者にもう一度目を向けるきっかけになってほしい」と話した。(磯前有花)



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