2019年10月27日(日)

決壊 氾濫・台風19号豪雨 (下)
鉄橋流失

水郡線分断、地元に影 通学、観光に打撃

橋桁と橋脚が流失したJR水郡線第6久慈川橋梁=大子町久野瀬
橋桁と橋脚が流失したJR水郡線第6久慈川橋梁=大子町久野瀬

JR水郡線袋田-常陸大子間の久慈川に架かる大子町久野瀬の鉄橋「第6久慈川橋梁(きょうりょう)」。破断した線路はねじ曲がり、根元から折れた橋脚が散乱している。約110メートル下流に押し流された橋桁が草木にまみれて川底に横たわり、濁流の威力のすさまじさを物語る。

「これだけ悲惨な状況だと、本当にまた橋を通せるのか心配だ」。現場から程近くの浸水した住宅で後片付けをしていた男性(41)は声を落とした。

築90年以上の同橋梁は全長137・8メートル、幅3・8メートル。台風19号の記録的な大雨で増水した久慈川の水位は橋桁に達し、7連の橋桁は全て落下。橋脚6基のうち3基が流失し、1基が転倒した。

復旧に要する期間について、JR東日本水戸支社は「数カ月でなく年単位」とし、少なくとも1年以上かかるとの見通しを示している。

■河川改修を検討

同支社は既に橋桁や橋脚の撤去に向け、準備工事に着手した。目下、検討作業が進められているのが現場の河川改修だ。

現地を視察したJR東日本の伊勢勝巳常務執行役員は「同じように復旧するとまた同じことになる。川の幅や高さなど、前提条件をしっかり整理して一日も早く復旧したい」と述べ、久慈川の増水を見据え安全性を向上させた形での復旧を念頭に、河川管理者の県と早期に協議入りしたい考えを示した。

県も川幅の拡幅や築堤、川床の掘削などの必要性を検討している。大井川和彦知事は24日の定例会見で、「今残っている最大の課題は、水郡線の橋の崩落による交通インフラの分断」と明言し、「大至急、河川の改修の方針について詰めているところ。おそらく2週間以内には、JRと復旧に向けた交渉を始められる」との認識を示した。

■復旧を切望

地元は復旧を待ち望む。現在は常陸大宮駅以北が運休。同駅-常陸大子間は代替バスが運行している。

町内に住む斎藤美幸さん(16)は袋田駅から代替バスに乗り、那珂市内の県立高校に通学する。朝、家を出る時間は40分以上早くなった。帰りは列車とバスの発着時間が合わず、放課後に2時間近く待つこともある。

別の学校に通う友人は毎朝の部活動の練習に間に合わないとして、学校近くのチームメートの自宅に泊めてもらっているという。斎藤さんは「3年生になれば受験や就職活動などで皆忙しくなる。それまでに復旧してほしい」と願った。

水郡線不通の影響は観光面にも影を落とす。同町矢田の大子温泉やみぞホテルは、水郡線を利用する常連客などのキャンセルが相次いでいる。毎年、水郡線の利活用に取り組む日帰りの団体客約80人の予約も取りやめになった。

11月1日から西金-常陸大子間を除き、運転が再開されるが、不通区間は引き続き代替バスに頼らざるを得ない。同ホテルは通常、常陸大子駅まで送迎しているが、新たに西金駅までバスを走らせるのは人員面から難しい。

平山ひろみ支配人(52)は「お客さまに不便をかけないよう極力調整したい」としつつ、「一日も早く、元通りの水郡線に戻ってほしい」と話した。(長洲光司)



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