2019年11月17日(日)

台風19号災害調査 総合・複合的対策を 伊藤哲司・茨城大教授

常総の教訓生かせたか

今後の対策について語る茨城大の伊藤哲司教授=水戸市文京
今後の対策について語る茨城大の伊藤哲司教授=水戸市文京

記録的豪雨を伴い、全国各地に大きな爪痕を残した台風19号から1カ月がたった。茨城大地球変動適応科学研究機関長で、同大「台風19号災害調査団」共同団長の伊藤哲司教授に台風19号の特徴や今後の災害対策の課題など聞いた。(聞き手は報道部・三次豪)


-台風19号の発生を振り返って思うことは。

「来るものが来たのかなと思った。関東・東北豪雨や九州北部豪雨、西日本豪雨と毎年のように豪雨が来て、気候変動や地球温暖化の問題がどのぐらい影響しているかは科学的検証が必要だが、実感として規模は確実に大きくなってきている。台風19号は範囲が広いことも特徴だった。想定していないことが起こることを想定しなければいけない」

-今後、必要となってくる対策は。

「一つのダムとか一つの治水対策では済まない。総合的な複合的な対策が必要になる。流域全体であふれそうな水をどう受け止めるのか、ダムや堤防、調整池、都市なら地下に水がためられる施設などが必要。加えてソフト面。ハザードマップは詳細なものが作られているが、専門家だけでなく一般の人が見て使えるものをもっと追求しないといけない。見てもどこに逃げたらいいか分からないとか、逆に情報が細かすぎて読み取れないとか、若い人は分かるが高齢者は分からないとか、いろいろ問題がある」

-災害に対する心構えについて。

「いつでも何か起こるかもしれないとの心構えが必要。東日本大震災後、福島の僧侶の玄侑宗久さんが『おびえを持とう』と話していた。絶対的な安全がない中で私たちはどう安全を紡ぎ出していくかが問われている。良い意味でのおびえを持つべき。自然との対峙(たいじ)の仕方も問われている。人為的なものも加え、自然自体が変化してきている。例えば、立派な堤防ができた時、過去の水害が忘れ去られていく。鬼怒川が氾濫した時もそうだったが、災害の見直しが今回得られる教訓だ」

-茨城大災害調査団はどのような活動を行うか。

「調査団は理系も文系も含めた総合的なチーム。まずは、今回の水害は防げなかったのか、ハード面で検討する。常総水害の教訓を生かせたかどうか、マイタイムラインが普及しつつあるが今回の水害で有効に働いたのかなどの冷静な検証も必要。住民の川との対峙の仕方も近年劇的に変化しており、そうした歴史的研究からも学ぶことは多い。人文社会学的な観点からの検証も大切になってくる」



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