2019年11月23日(土)

《台風19号検証》災害ごみ 想定外の広域処理 常陸大宮は土浦へ搬出

災害ごみの搬出作業が進む仮置き場=常陸大宮市野口の旧御前山中学校
災害ごみの搬出作業が進む仮置き場=常陸大宮市野口の旧御前山中学校

台風19号の被災地で、浸水した家屋などから大量に出た災害ごみ。被災自治体では自前の施設だけでは処理し切れず、大子町は日立市に、常陸大宮市は土浦市に一部受け入れを要請、広域連携で処理を急いでいる。一方で、被害が広範囲に及んだため想定していた広域処理の枠組みでは対応できず、民間事業者との連携など課題も浮き彫りになっている。

■ブロック越える

台風19号による県内の災害ごみの発生量は8万7千トン(推計)。水戸市が4万6千トンと最多で、常陸大宮市と大子町が1万4千トンで続く。

大子町の発生量は町の年間ごみ排出量の約2倍、常陸大宮市は約1年分に相当する。

災害ごみは市町村で処理するのが原則だが、本県では発生量が多い場合に備えて、県北▽県央▽鹿行▽県南・県西▽石岡-の5ブロックに分けて市町村同士が相互支援する協定を結んでいる。

だが今回は県北地域で常陸太田、常陸大宮、大子の3市町が大規模な浸水被害に見舞われ、協定に基づき助け合うはずのブロック内で「受け皿」が不足する事態が生じた。

大子町は10月末から日立市へ1日20トンを上限に搬出できるようになったが、常陸大宮市の場合、県を通じた支援要請に応じた土浦市のごみ処理場へ搬出を始めたのは、被災1カ月が過ぎた今月19日になってからだった。

常陸大宮市は現在、自前のごみ処理場が収容能力を上回ったため災害ごみの搬入を一時停止中。土浦市には1日20トンを上限に29日まで搬出可能だが「車両の台数や距離などの関係で上限までは運べていない」(市担当者)という。

ブロック外の市町村との調整に時間を要したことから県は今後「県全域での市町村間の協定を検討したい」としている。

■民間と連携「鍵」

自治体間の協力に加え、災害ごみの処理を迅速に進める鍵となるのは、民間との連携だ。

今回は、常陸太田、常陸大宮、大子の3市町と城里町の計4市町が、産業廃棄物処理業者でつくる「県産業資源循環協会」に処理を委託。自治体側が仮置き場からの「年内搬出」を目指す中、協会員約60社が出動し、収集、運搬のほか、自社の焼却施設などで受け入れている。

一方で現場の作業員の頭を悩ませているのが、仮置き場で山積みとなっている混合状態のごみの存在だ。運び込まれる際に分別を徹底できなかった例も多く、搬出の際に手間が増え、処理がはかどらない要因になっている。

同協会の古矢満会長は仮置き場の運用を例に挙げ、「迅速な処理には初動がすごく大事。被災直後や事前の計画作りから市町村と連携できればより早く進められる」と話し、今後は県と結んでいる災害協定を市町村にも広げていきたい考えという。(戸島大樹)



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