2019年11月25日(月)

IBS筆頭株主が構想 県域テレビ開局なるか 整備費や広告獲得課題

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全国で唯一、県域の民間テレビ局がない本県で、今月、茨城放送(IBS、水戸市)の筆頭株主となったグロービス経営大学院の堀義人学長が、テレビ局開設構想を打ち上げた。魅力度ランキングで最下位が続くなど、映像による情報発信力の弱さに関連してテレビ局開設は待望論が長年続いている。過去に開局を検討する動きはあったものの、多額の費用や、キー局拠点の東京に近い本県の事情がネックとなり実現してこなかった経緯がある。新たな構想は実現するのかどうか、注目が集まる。

■待望論

「テレビ局、あるいはそれに準ずるネット動画チャンネルを立ち上げる」。プロバスケットボールB2茨城ロボッツのオーナーで水戸の中心市街地活性化などに取り組む堀氏は、茨城放送の筆頭株主就任を発表した今月15日、談話を出した。「常に議論となってきたのが、県のメディアの脆弱(ぜいじゃく)性。県域テレビ局がないばかりか、県域FMもない」

行政や観光の情報発信だけでなく、スポーツ中継や災害報道の即時性などでローカルテレビは設立待望論がくすぶってきた。

県によると、1971年にUHFチャンネルが本県に割り当てられ、過去に8事業者が免許を申請したものの、2011年7月の地上波デジタル放送完全移行までに全事業者が申請を取り下げている。

県は1998年、有識者による「メディア研究会」を立ち上げ、テレビ局設立の可否を検討したこともあった。1年半の議論の末、「経営的に見通しが立たない」と結論付けた。送信アンテナの整備など多額の設備投資が必要となるほか、東京の全キー局が視聴できる本県はキー局系列ではない「独立局」設置が必要となり、スポンサー獲得面で不利なことなどが課題に挙がった。

■拡大要望

この後、2004年10月にNHKが全国で最初の地デジ県域放送を開始。地元のニュースや話題が放映され、状況は一歩前進した。ただ、つくば市や古河市などを含む県南西地域はUHFアンテナを追加するかケーブルテレビに加入しないと視聴できず、視聴エリアは県央、県北、鹿行地域の一部に限られている。

国のテレビ局開設免許は都道府県ごとが原則となっている。本県での地方局新設は厳しいという前提で、県は今年6月、隣県の地方局が本県でも放送できるよう放送エリアの拡大を総務省に要望。柔軟な制度運用を求めることで、県域放送実現の道を探った。

■期待感

9月の県議会では、一般質問で県域テレビ開設に関する質疑があった。加藤明良県議(いばらき自民)は、栃木県が筆頭株主の第三セクターで1999年に開局したとちぎテレビ(宇都宮市)を例に「検討を市町村や企業に呼び掛けては」と指摘した。大井川和彦知事は従来の立場を踏まえ「まずは民間事業者が計画を立案することが前提」と答弁し、「ICT(情報通信技術)時代にテレビだけが効果的な媒体とは断言できない」「地方テレビ局の広告収入はものすごい勢いで減っている」と説明を加えた。

県域テレビ局が実現するのかは未知数だ。大井川知事は今月22日の定例会見で、堀氏が事実上のIBSオーナーになったことを歓迎。テレビ開局への意欲を堀氏から聞いたとした上で「基地局放送というよりはインターネット放送というふうに認識した。茨城を巡る放送、報道、ニュース配信が活性化されるのであれば県民にとっても非常に良いことでは」と期待感を示した。 (黒崎哲夫)



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