2019年11月28日(木)

用水機場被災、米農家ピンチ 台風19号、浸水相次ぎ

16市町137施設復旧作業続く 来春作付け「間に合うか」

浸水被害を受けた用水機場を前にたたずむ蓮田弘さん。フェンスはなぎ倒され、建屋の窓ガラスは破れたままだ=21日午後、常陸大宮市下伊勢畑
浸水被害を受けた用水機場を前にたたずむ蓮田弘さん。フェンスはなぎ倒され、建屋の窓ガラスは破れたままだ=21日午後、常陸大宮市下伊勢畑

台風19号の影響で、用水機場が浸水被害に遭った米農家が苦境に立たされている。用水機場は川の水をくみ上げて農業用水を供給するが、県内でポンプや電気設備が泥水に漬かる被害が相次いだ。来春の水稲の作付けを見据え、急ピッチで復旧作業が進められているが、作付けに間に合うか見通しが立たない施設もある。廃業を迫られる米農家もあることから、関係者は気をもんでいる。

那珂川の堤防が決壊した常陸大宮市下伊勢畑地区。台風19号で、地元の水利組合が管理する用水機場は建屋全体がほぼ水没した。

「(用水機場が)動かなかったら廃業だ」

同所の米農家、蓮田弘さん(72)は流木などが押し寄せ、窓ガラスが割れたままの建屋を見つめながら、ため息をついた。

市によると、この用水機場はポンプなどに加え、周囲の配管や排水溝も被災し、国に災害復旧費の適用を求めている。来春の作付けまでに復旧したいというが、先は見通せない。

台風19号で蓮田さんの田んぼ約1ヘクタールにも濁流が押し寄せた。表土が流され、大量の砂利が流入した。来春分の苗を12月中旬までに注文しなければならないが、用水機場や田んぼの復旧見通しが立つまでは「申し込めない」と嘆く。

県によると、台風19号で被害を受けた用水機場は22日現在、同市など16市町の137施設。推計被害額は12億3200万円に上る。

用水機場の復旧作業について、ポンプメーカーの担当者は「来春の作付けはみんな意識している。当社としても間に合わせるよう仮復旧も検討している」と話す。

水戸市渡里町にある用水機場も大きな被害に遭った。管理する渡里台地土地改良区によると、ポンプ2基やモーター、分電盤などの電気設備が泥水に漬かった。特に復旧に時間がかかるとされるのはモーターで、早急に搬出の準備を進め、26日にメーカー側に引き渡した。修理するのではなく作り直す必要があると判断されれば、例年より送水が遅れる可能性がある。

この用水機場は同市や茨城町の農家約1100人が利用する。多くは兼業農家で、4月下旬から5月上旬の大型連休中に作付けを行う。同土地改良区は送水が遅れる可能性があることを近く組合員に伝える方針だ。市毛直樹事務局長は「良い方向に空振りする分にはいい」と希望を口にした。(小野寺晋平)



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