2019年11月29日(金)

《19記者コラム》記者の目線考えたい

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10月13日早朝。水戸市の国田地区に向かうと、那珂川からあふれた濁流は住宅や農地に流れ込み、何度も通った道は水没していた。この日から1カ月。ほぼ毎日、被害を受けた地域に足を運んだ。

今、話し掛けてもいいだろうか-。台風19号の被災地や避難所で、被災者に声を掛けるときはいつもためらう。片付け、清掃、休息…。取材は少なからず、相手の時間を止めることになるからだ。

被害の状況を伝えることは、世の中の関心や支援を集める意味でも意義がある。その後の検証は教訓や警告にもなる。ただその前に、取材は被災者の思いを尊重するという前提がある。当事者の気持ちを無視して、取材はできない。

「この辺りの住民はみんな、取材お断りだから」。ある被災した住宅の庭先にいた男性に声を掛けると、こう切り返された。普段はのどかな地域。水害に伴い多くの取材が入り、不快な思いをしたのかもしれない。そう思うと申し訳なく、悲しい気持ちになった。

事実を伝えるには、そこに暮らす人の言葉は欠かせない。記者の目線が、行動が、被災者の気持ちとズレていないか-。見詰め直したい。(水戸支社・前島智仁)



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