2019年11月30日(土)

高野連球数制限 時代の流れ/私立優位に/ドラマ生まれない

茨城県内反応 来春から1週間500球以内

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日本高野連は29日、大阪市内で理事会を開き、来春の第92回選抜大会を含む春季大会から「1人の1週間の総投球数を500球以内」とする投球数制限の実施を決めた。日本高野連と都道府県高野連が主催する公式戦が対象。500球となる打者完了までは投球が可能となる。3連戦を回避する日程を設定することも決定。3年間は試行期間とし、罰則はない。


「1人の1週間の総投球数を500球以内」とする投球数制限の実施が決まり、県内の高校野球指導者からは「故障を防ぐためには当然」「時代の流れだ」と歓迎の声が上がる一方、一部の指導者やファンらからは「選手数が多い私立優位に働くだろう」「エース一人で投げ抜くドラマは生まれなくなる」などと魅力低下の懸念を訴える声も出ている。

今夏の甲子園に出場した霞ケ浦の高橋祐二監督(60)は既に投手の練習に「1週間500球」という制限を取り入れているといい、「どんな投手でも(1試合で)90球以上を投げればフォームが崩れてくるという研究結果がある。けが防止のためにも球数制限は必要」と歓迎した。

常総学院の佐々木力監督(53)は「1人の投手に頼るのでなく、既に複数投手の育成を取り入れているので、戦い方に変わりはない」と冷静に受け止めつつ、「ベンチ入り人数の拡大や指名打者制など、今後も忌憚(きたん)なく、投手の負担軽減策を議論すべきだ」と指摘した。土浦日大の小菅勲監督(53)は「1週間500球は守れる数字だと思う。ただ、ここがスタート。今後も育成、強化、普及の観点に立ち、考え続けなくてはいけない」と強調した。

プロ野球の元投手で楽天時代にメジャーリーガーの田中将大投手を指導した水戸啓明の紀藤真琴監督(54)は「田中のように多く投げても大丈夫な投手もいれば、制限された球数より少なくても肩や肘を痛める投手はいる。制限を何球にするかは難しいと思うが、まずは緩やかな大会日程を組んでもらいたい」と願った。

元常総学院監督の木内幸男監督(88)は「球数と勝負する野球が出てくる。エースではない投手が登板したときの立ち上がりもこれからはポイントになる。ますます私立優位になるのは間違いない」と見ている。

一方で球数制限に複雑な思いを抱く指導者たちも。県北地区の県立校を率いる40代の指導者は「選手数が少ない県立校には不利だろう。エース級の投手を複数育てるのは難しい」と言い切った。別の40代の指導者は「『投げたい』というエースを降板させる決断は難しい。プロ野球や社会人野球で続ける選手もいる半面、『高校野球で燃え尽きたい』という選手が多いことも現状だ」と理解を求めた。元プロ野球選手で鬼怒商時代に8日間で5試合を投げた経験を持つ梅沢義勝さん(60)は「当時のエースは最後まで投げ切るという思いだった。(球数制限は)時代の流れ。仕方ないと思うが、高校野球の魅力は減るかもしれない」と語った。

ファンの気持ちも複雑だ。常陸大宮市の公務員(47)は「肩は消耗品という考え方は理解できるが、エースが投げずに負けてしまうような試合は見たくない」。茨城町の会社員(47)は「高校生が完全燃焼できる工夫をしてほしい」と訴えた。

県高野連は今後、準決勝と決勝の間に休養日を設けるなど、緩やかな大会日程を検討していく考え。榎戸努専務理事(64)は「1週間で3試合程度になるようにしたい」と説明した。 (小池忠臣)



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