2019年12月4日(水)

アライグマ被害深刻 空き家、屋根裏に生息も

坂東、農作物や住宅

空き家で捕獲されたアライグマ=坂東市内
空き家で捕獲されたアライグマ=坂東市内

坂東市で外来種のアライグマによる農作物や住宅への被害が深刻化している。昨年度の捕獲頭数は県全体の約4割を占める401頭に達し、本年度も500頭を超える勢い。数年前は河川敷に多く生息し、畑や庭に出没しては農作物を食い荒らしていたが、近年は空き家や民家の屋根裏にすみ着くケースが増加。市は無料で箱わなを市民に貸し出すなど対策を強化しているが、繁殖力が強く、市の担当者は頭を抱えている。(古河支局・小室雅一)

■特定外来生物
「スイカを含め、アライグマの餌になる農作物を全部作っている。昨年夏、畑の隅にある竹やぶの中に箱わなを設置した。もう約60頭も捕獲したよ」。自宅の畑でトウモロコシなどを栽培する坂東市内の男性(69)は困り顔で打ち明けた。

アライグマは北米原産だが、ペットから野生化して分布域を全国に拡大。環境省は2005年、ニホンザリガニなど絶滅危惧種を捕食するほか、農作物被害や感染症を引き起こす可能性があるとして、特定外来生物に指定した。

同市内では農作物の被害が深刻だが、最近は「空き家や住宅の屋根裏にすみ着いた」との被害報告が、ハクビシンを含め年間約50件も市に寄せられている。

40代男性は、自宅敷地内に建つ空き家にアライグマが出入りする様子を何度も目撃。「もう3日連続で来ている。アライグマのすみかのようだ」と不快感を隠さない。出没は特に春の3、4月が多いという。

■“二正面作戦”
同市ではアライグマを中心にハクビシン、クリハラリス(通称タイワンリス)など中型獣類の被害が年々増加。2016年度に計137頭だった捕獲頭数は、17年度に計180頭、捕獲体制を整えた18年度は計464頭に達した。

本年度は11月29日現在でアライグマ336頭、ハクビシン61頭、クリハラリス10頭の計407頭を捕獲。市農業政策課は「捕獲と防除を同時並行で」と、市民に“二正面作戦”への協力を訴えている。

被害の増加を受け、市は国の交付金を活用し、14台しかなかった貸し出し用箱わなを17年度に54台、18年度に74台、19年度に84台と拡充。これまで原則1個の貸し出しを、被害の多い住宅には2個に増やすことも検討中だ。またアライグマの習性や生態を詳しく知ろうと、今年新たにセンサーカメラ5台を導入した。

■拡大の可能性
県全体のアライグマの捕獲頭数は昨年度、坂東市の401頭を筆頭に過去最高の974頭に上った。ここ数年で倍増の勢いで、市や県の担当者は「野生化し繁殖を繰り返しているほか、もともと分布数が多かった千葉県や埼玉県などから北上してきた可能性もある」と要因を指摘する。

昨年度の捕獲を地域別に見ると、県西が546頭、県南も397頭と多く、県央15頭、鹿行10頭、県北6頭。ただ、捕獲した自治体数は29に拡大しており、農研機構中央農業研究センター研究員の小坂井千夏さんは「坂東市の近隣にもアライグマの生息適地がある。今後ほかの自治体に広がっていく可能性がある」と警鐘を鳴らす。

野生鳥獣にとって農作物はエネルギー効率の高い魅力的な餌で、人間が捨てる農作物でも構わない。同市や農研機構中央農業研究センターは「電気柵を設置するなどして、耕作放棄された畑や廃果場、空き家などを適切に管理し、野生鳥獣を寄せ付けない対策を」と呼び掛け、「侵入されてしまったら初期の段階で徹底的に捕獲してほしい」と話している。



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