2019年12月22日(日)

水道料、値上げ 茨城県内で相次ぐ 施設の老朽化、更新時期

人口減で財政逼迫

【AD】

水道料金の値上げが茨城県内で相次いでいる。12月議会で決定しただけで、少なくとも水戸市と行方市、結城市がある。背景にあるのは、老朽化した水道施設の更新だ。東日本大震災後の耐震化費用の増大、人口減少による給水収益の減少もある。事業開始約40年の施設更新時期を次々と迎え、古い水道管で漏水も発生するなど、施設更新は待ったなしの状況だ。逼迫(ひっぱく)した財政事情の中、事業運営の赤字を賄う内部留保も底が見え始めるなど、これまで値上げに踏み切れなかった事業者が決断を迫られている。(報道部・三次豪)

■苦渋の決断

「内部留保を少しずつ取り崩してきた。値上げをこれ以上先延ばししたら立ち行かなくなる」。12年ぶりの値上げで水道料金を20%引き上げる行方市の水道課職員は実情を語った。

同市によると、水道事業費を給水収益で賄えなくなったのは3町合併による市の誕生後。約10年ほど前だ。内部留保や一般会計から毎年約5千万円を補填(ほてん)し続けてきた。約10億円あった内部留保も約半分となり、2021年度には運転資金として最低限必要な3億円まで減少する試算。震災後の耐震対策も重なり、施設更新などの建設改良費が増え、費用削減だけでは経営改善が難しい状況になった。

「水道管にひびが入り、継ぎ目が外れたりして漏水が起こっている。震災後も市民負担を考慮してやりくりしてきたが、もう企業努力だけではどうにもならない」。苦渋の決断だった。

値上げは来年6月から。口径20ミリで1カ月当たり20立方メートルの一般家庭の場合、現行の4525円(税込み)から5445円(同)と920円引き上げる。

■地域格差も

各事業者とも施設の耐用年数を迎えるが、更新は進まない。県内の水道事業体を対象に地方自治研究機構が実施したアンケート(16年)では、管路更新計画の策定状況は「計画なし」が半数を超える57%に上った。そのうち、法定耐用年数の40年を経過した事業体は約45%。特に、給水人口規模が小さい事業者が、計画を策定できていない状況も浮かび上がった。

県企業局によると、本県は昭和40〜50年代に水道事業が始まった“水道後発県”。「利根川や那珂川、久慈川、霞ケ浦など水源が多く、どこを掘っても井戸水が使えたため事業開始が遅かった」。まさに今、施設更新時期を迎えている中で事業者はあえいでいる。

一方、首都圏に近く、人口増加が続く守谷市は、黒字経営持続を見込み、10月に消費税増税分2%を値下げした。ただ、人口減少が止まらない農村地域を多く抱える他の自治体の担当者は「都会は人口が集中して効率的な運営ができるが、民家が点在している田舎では効率的な運営ができない」と水道事業でも表面化する“地域格差”を嘆く。

■広域化見通せず

水道事業運営は本来、受益者負担の原則に基づき、徴収した水道料金収入で賄う独立採算制の経営が原則だが、経営が立ち行かずに他会計の蓄えに頼ってきた事業者は多い。それでも、市民感情も影響し、事業者にとって水道料金値上げの“ハードル”は高い。

10月に改正された水道法施行規則では、事業者に対し、中長期の収支見通しの検証、3〜5年ごとの水道料金の見直しを求める内容を追加。別の県内市町村の水道課職員は「国が背中を押し、小規模自治体が来年あたり続々と値上げに踏み切るのでは」と予想する。

効率的な経営への改善策として、総務省は都道府県に経営統合などによる広域連携の検討を促している。県生活衛生課によると、本県も市町村の担当者を集めて他県の事例紹介や制度の説明を行っている。ただ、水道料金や設備の格差が壁となり、広域化は「先が見通せない」状況だ。

★県内市町村の値上げの主な動き

水戸市は6年ぶりに一般家庭で12.32%、結城市は17年ぶりに19.2%を、それぞれ来年4月から値上げする。つくば市は2018年度に、35年ぶりの値上げで16%引き上げている。



次の記事:新生活様式 介護現場「無理ある」

全国・世界のニュース

2020 年
 5 月 25 日 (月)

メニュー
投稿・読者参加
サービス