2019年12月28日(土)

特産干し芋、生産様変わり 天日干しと併用も

乾燥機導入進む

干し芋生産会社「テルズ」は、ほぼ全ての製造作業を屋内で行う=東海村白方、鹿嶋栄寿撮影
干し芋生産会社「テルズ」は、ほぼ全ての製造作業を屋内で行う=東海村白方、鹿嶋栄寿撮影

最盛期を迎える本県特産、干し芋の加工に専用乾燥機の導入が進んでいる。伝統製法である天日干しは天候に左右されやすく、ほこりが付着するなど衛生面でも現場を悩ませていた。安定出荷のため機械乾燥に踏み切る生産者は多く、「オール乾燥機」の業者も。天日干しの良さを生かしつつ、機械乾燥も取り入れた「ハイブリッド型」も見られ、加工場の風景は変わりつつある。

国内シェア9割超を誇る本県産の干し芋。ひたちなか市と東海村をはじめとする特産地では、冬晴れの下、日差しをいっぱい浴びて並ぶ芋の光景が風物詩となっている。冬に吹く強い海風が乾燥製法に適しているとも言われている。

12月中旬、東海村の干し芋生産業者「テルズ」の工場。スライスした芋を従業員がすだれに敷き詰め、そのまま専用乾燥機に。平干しで約10時間、丸干しで約20時間乾燥させて完成だ。

2015年から干し芋を始め、2年目で乾燥機を導入した。天日干しの1年目について照沼勝将代表は「ほこりや天気に悩まされた」と振り返る。平干しの天日干しは通常1週間程度かかり、この間に雨が降れば作業を中止したり、湿気で芋がかびる恐れもある。照沼代表は「注文が来ても対応できず、商売として成立しなくなってしまう」と言う。乾燥機を使ってから2年連続で品評会の最高賞を取った。ただ「乾燥機はあくまで乾燥の手助け。味の決め手は8割が畑、加工技術は2割」と原料作りに重きを置く。

乾燥機を使用する農業者は増えており、関係者が「天日干しだけの生産者を見つけるのが難しい」と口にするほどだ。

茨城店舗設備(水戸市)では二十数年前から干し芋専用の乾燥機を開発、販売している。干し芋生産者から「天気に左右されて芋を3割廃棄せざるを得ず、安定的に干し芋を作りたい」との相談を受けてのものだった。同社乾燥機の特徴は冷風を発生させること。富沢美智子専務は「冬の風を再現し、天日干しに近い状態にする」と説明する。現在、県内外の約120業者が同社製品を導入。業界では温風や遠赤外線タイプの乾燥機も流通している。

そうは言っても従来の製法を守る生産者もいる。創業明治30(1897)年の大丸屋(ひたちなか市)では約10年前から乾燥機を稼働しているが、工程の最後はガラス張り施設で天日干し。大曽根一毅専務は「安定的にやるために乾燥機は必要だが、やはり天日干しの方がおいしい」と力説。さらに「乾燥機を使うことで、もともと保存食としての干し芋の定義から外れるのでは、という疑問もある。特産を守るのがわれわれの使命であり、100年以上続く大丸屋の技術を継承させたい」と説く。

同市の木名瀬一さん(81)は乾燥機で一晩、芋の水分を抜いた後に天日干しだ。「光沢が出て甘みが増す天日干しに勝るものはない」と語る。

妥協を許さない作り手たちの思いは一貫している。(斉藤明成)



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