2020年1月28日(火)

千葉大・三浦名誉教授 風土記の編さん解説 日立で講演

長者山遺跡も紹介

講演会「常陸国風土記の世界」で「風土記とはいかなる書物か」をテーマに話す千葉大名誉教授の三浦佑之さん=日立市若葉町
講演会「常陸国風土記の世界」で「風土記とはいかなる書物か」をテーマに話す千葉大名誉教授の三浦佑之さん=日立市若葉町

日立市内で初めて国史跡に指定された長者山遺跡を紹介する特別展開催に合わせ、講演会「常陸国風土記の世界」(市郷土博物館主催)が25日、同市若葉町1丁目の市民会館で開かれた。古事記研究の第一人者で古代文学を専門とする千葉大名誉教授の三浦佑之さんが基調講演したのをはじめ、県内各地の古代遺跡の研究者がそれぞれの遺跡について解説した。会場には約500人が詰め掛け、風土記が編さんされた時代に思いをはせた。

同市十王町伊師の長者山遺跡は2018年10月、「長者山官衙(かんが)遺跡及び常陸国海道跡」として国史跡に指定された。これを記念した同市宮田町5丁目の同博物館で特別展「長者山遺跡がつなぐ古代の道と常陸国風土記の世界」が開かれていることから、講演会が企画された。

基調講演で三浦さんは「風土記とはいかなる書物か」をテーマに取り上げた。風土記は713年に中央政府からの命令で編さんされた。「風土記は日本列島あちこちの特産品や出来事、地名が書かれており、極めて貴重だ。1300年前の地方の歴史を知ることができる」と指摘。現存する5国の風土記のうち、常陸国風土記は書き写される過程で省略された部分が多く、「面白い話だけが残されて今に伝わっている」との見方を示した。

奈良時代の中央政府にとって律令制度の構築とともに、歴史書の編さんは国を運営するに当たり重要な取り組みだったと強調、「法律(律令)と幻想としての歴史をつくることで国家は安定を保てる」と述べた。

ヤマトタケル伝承についても触れ、古事記、日本書紀、常陸国風土記それぞれで名前の漢字が異なると紹介。常陸国風土記では「倭武天皇」と記され、13カ所の記述がある。三浦さんは「ヤマトタケルは天皇(大王)として常陸国を巡幸したのではないか。後になって悲劇的な皇子のまま死んだことになったのではないか」との自説を披露した。

基調講演の後、かすみがうら市、鹿嶋市、水戸市、日立市の遺跡を担当する学芸員などの研究者が講演。日立市郷土博物館学芸員の猪狩俊哉さんは長者山遺跡を紹介した。同遺跡のポイントとして「古代官道」「駅家」「常陸国風土記にある『藻島の駅家』の有力候補地」の三つを指摘した上で、3点目の藻島の駅家の候補地との見方について、「長者山遺跡の近くに目島という地名が今も残る。溝で囲まれた中に建物跡が見つかり、すぐ脇に道の跡もある」などと説明した。

さらに、同遺跡は建物の柱を置いた礎石が今もそのまま見られるのが魅力と力説。市内の風土記に関わるスポットも紹介し、「市内や県内には風土記の世界が広がっている。今の暮らしと1300年前が隣り合っている。郷土の歴史を再発見する旅に出掛けるのも素晴らしい」と締めくくった。(川崎勉)



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