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《新型コロナ・影響》関鉄竜ケ崎線開業120年 記念冊子配れず

県立竜ケ崎二高の生徒が編集した冊子。配る機会が失われ、100部が丸々残っている=龍ケ崎市
県立竜ケ崎二高の生徒が編集した冊子。配る機会が失われ、100部が丸々残っている=龍ケ崎市


■竜ケ崎二高生が編集 企画展中止、代替を検討

龍ケ崎市内のみを走る関東鉄道竜ケ崎線の開業120周年に合わせ、茨城県立竜ケ崎二高の生徒らが記録を残そうと編集した冊子100部が、行き場を失っている。生徒が中心となって企画したパネル展で配布する予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止。印刷が終わった頃には、携わった生徒のほとんどが卒業してしまった。指導した教員は残念がる一方、インターネット上での公開を考えている。

「昔を懐かしく思い出してもらいつつ、現在の風景を楽しんでいただければ幸いです」-。

二高の生徒による冊子「『竜鉄』の歴史を探る」の書き出しだ。全30ページから成り、生徒有志15人が1年かけてまとめたという。

全3駅を巡り、風景や利用客、車両を捉えた写真を収める。鹿島参宮鉄道時代の竜ケ崎線に乗った愛好家に回想文を寄せてもらったり、かつて運行していた蒸気機関車や昔の駅舎の提供写真を載せたりと、後世に記録を伝える構成にもなっている。

昨年にも県立竜ケ崎一高の生徒が、竜ケ崎線の歴史を研究し冊子にした。今回は第2弾の位置付けだ。市や関鉄、両校などでつくる市地域公共交通活性化協議会の活動の一環でもあり、いずれの冊子も地域貢献が狙いで、ネット上で資金を集める「クラウドファンディング」を活用した。

二高の冊子は龍ケ崎市歴史民俗資料館で、生徒が企画したパネル展で配る計画だった。当初は2月22日〜3月17日までの開催予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、1週間足らずで中止。3月14日の1日限定で入館者に手渡す計画に狂いが生じた。冊子編集に携わった生徒は3年生がほとんどだったため、完成を見ることなく卒業した。生徒は「日の目が見られず残念」と話しているという。

市と関鉄は、開業120周年記念イベントでの冊子配布を検討しているが、新型コロナウイルスの影響で開催の可否を含め、めどが立っていない。

前任校の一高から、生徒たちの指導に当たった二高の小野威人教諭は「生徒たちの冊子は努力の結晶。後の時代に記録を残せる」と意義を強調。「ネットを使っての発信など、多くの人に見てもらえるような仕組みを考えたい。行動が制限される今の状況に対し、貢献になるはず」と述べた。(鈴木剛史)

★関東鉄道竜ケ崎線
1900年8月14日に開業した龍崎鉄道が起源。路線総延長は4.5キロメートルで、全て龍ケ崎市内に入る。市西端に位置する佐貫駅と中心地の竜ケ崎駅を結ぶ。現在は3駅だが、かつては5駅あった。44年に、後の鹿島鉄道線(廃線)などを運行する鹿島参宮鉄道に事業譲渡。65年の常総筑波鉄道との合併を経て、関東鉄道の運営になった。

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