2020年5月5日(火)

「水郷」潮来の観光業、歴史的な苦境 台風と新型コロナ、二重苦 老舗ホテルは倒産

ハナショウブの葉が育ちつつある水郷潮来あやめ園=潮来市あやめ
ハナショウブの葉が育ちつつある水郷潮来あやめ園=潮来市あやめ

「水郷」と称され、遊覧船やあやめ園などで知られる潮来市内の観光業が、かつてない苦境に陥っている。昨年9月の台風15号で常陸利根川に浮かぶサッパ舟や屋形船が大きな被害を受け、客足が戻りかけたのもつかの間、今度は新型コロナウイルスの影響に見舞われた。4月20日には、同市の年間観光客数の約4割を占める「水郷潮来あやめまつり」の初の中止が決定。売り上げの落ち込みは長期にわたっており、倒産する業者も出た。

「不景気に台風ときて、今回のコロナウイルスでとどめを刺された感じ」。サッパ舟などを使った遊覧ツアーを営む男性社長(40)は嘆く。

昨年の台風15号で、所有する舟十数隻が転覆、沈没する大打撃。その後、数隻を修理し「3月にようやく予約が少しずつ入ってきたところ」に新型コロナが襲い掛かり、予定は全てキャンセル。「昨年9月以降の売り上げはいくらもない」と苦境を明かした。

台風被害の際には廃業も考えたという男性社長。「続けない方が良かったとまで考えてしまう」とした上で、「今は我慢するしかない」と語った。

市内の旅館、ホテルで最も収容人数の多い潮来ホテルの高塚悌治社長(66)は、「先が見通せないのが何よりもつらい。創業以来初の危機的状況」と話す。3月中旬以降の売り上げはほとんどゼロに近い。

3月には、市内の老舗・富士屋ホテルが新型コロナ感染拡大の影響が広がる中、倒産した。市内で有数の規模を誇るホテルだった。

水郷潮来観光協会長を務める高塚社長は「これから五輪などのイベントも控えていた中で、潮来エリアとしての収容能力が減ってしまい、競争力が低下した」と危機感を募らせる。

長期にわたる売り上げ減や同業者の倒産。高塚社長はそれでも営業をやめることは考えていないという。

「1938年の創業以来、太平洋戦争でも東日本大震災でも1日も休んでいないのが誇り。ホテルや店舗など、あるべき明かりがついていることで、地域の人は安心できる。やるかやられるかというぐらいの気持ちで営業を続けている」と前を向いた。



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