2020年5月6日(水)

《新型コロナ対策》聴覚障害者への手話通訳サービス整備を マスクで口元見えず

感染拡大、胸中複雑 「外してとは言えない」

手話で遠隔通訳の重要性を訴える会沢隆典会長=水戸市住吉町
手話で遠隔通訳の重要性を訴える会沢隆典会長=水戸市住吉町

新型コロナウイルスの感染拡大でマスクの着用が広がる中、手話や口の動きで言葉を理解する聴覚障害者に不安が広がっている。スーパーなど買い物の際はマスク着用の店員が多く、口元が見えないことで意思疎通に困る場面が増えた。医療従事者と円滑に対話するため、スマートフォンなどを通じて手話通訳者がそばにいなくても話し合える遠隔通訳の整備を求める声も相次ぐ。茨城県の知事の記者会見には手話通訳者がおらず、支援団体は県に配置を要望している。

■買い物に不安

「店員がマスクを着けていると、何を話しているのか分からない」。県聴覚障害者協会(水戸市)の会沢隆典会長は、障害者が買い物の際に抱える不安を吐露する。

手話ができない相手でも、ゆっくりと話してもらえれば口の動きだけで内容を把握できる場合もある。以前は聴覚障害者であることを明かすとマスクを外してくれる店員もいたが、感染が拡大する中では「外してほしいとは言えない」と複雑な胸中を語った。

筆談やスマートフォンを使ったやりとりもできるが、そもそも口元が見えないと話し掛けられたことにすら気付けないことが多い。「耳が聞こえない人が来店することも考慮してもらえたら」と理解を求めた。

手話ができる者同士であっても、マスクは意思疎通の壁になる。手話でのやりとりには、手だけでなく口の動きや表情も欠かせない。例えば、手話の「あ」と「5」は手の動きが同じため、口の形で違いを表現する。感染防止のためのマスクだが、同協会の女性職員(51)は「会話の際は外さざるを得ない」と話す。

■災害時も必要

聴覚障害者が感染した場合に、医療従事者と十分な意思疎通ができない懸念もある。同協会など3団体は4月28日、遠隔手話サービスの整備を求める要望書を県に提出した。

遠隔手話サービスは、タブレット端末やスマートフォンなどのテレビ電話機能を使って別の場所にいる手話通訳者が通訳する。通訳者をそばに付ける必要がなく、感染リスクから守ることにもつながる。

会沢会長は「コロナだけの問題ではない。地震など災害時にも必要な措置だ」と訴えた。

情報入手にも不安を抱える。聴覚障害のある日立市の50代男性は「コロナ関連のニュースを見ても内容が把握できない」と嘆く。手話通訳が付いたテレビの報道は限られており、自粛要請のさなか障害者同士で集まるのも難しく、新しい情報の入手がしづらいという。

障害者の間では、知事の記者会見に手話通訳が付いていないことにも不満が高まる。近隣の東京都や千葉県、栃木県などは既に配置している。県報道・広聴課の担当者は「5月のできるだけ早い時期に整備できるよう関係機関と調整を進めている」としている。



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