2020年5月23日(土)

73歳の茨城大大学院生 笠間の登り窯6基調査 「次代の焼き物研究の一助に」

水戸市の仲根聰子さん 年下の学生も協力

久野陶園の登り窯を調査する茨城大の学生ら(手前右から2人目が仲根聰子さん、右端が伊藤慶子さん)=1月8日、笠間市箱田
久野陶園の登り窯を調査する茨城大の学生ら(手前右から2人目が仲根聰子さん、右端が伊藤慶子さん)=1月8日、笠間市箱田

スペインの建築家・ガウディの自由な精神性を笠間焼に見いだし独自の研究を続ける茨城大学大学院生の仲根聰子(さとこ)さん(73)=水戸市=が、笠間市内に現存する登り窯6基の調査を進めている。仲根さんは「笠間焼は技術や芸術面で世界に誇れる工芸品。昔の陶工たちが使った登り窯の姿を捉え、次代の焼き物研究の一助にしてほしい」と意欲を示している。

特別支援学校の教員だった仲根さんは、現役当時から世界を旅するのが好きで、特にスペインのガウディの思想やものづくりに傾倒していた。定年退職後、一念発起して茨城大学大学院の人文科学研究科(当時)に入り、ガウディが設計したサグラダ・ファミリアの建築現場での研究に携わった。2017年からは理工学研究科の博士後期課程でドクターの取得を目指している。

一方、同年に笠間でガウディ研究者を招いて講演会を企画した際、笠間焼作家が数多く参加した縁で、その優れた芸術性に関心を持つようになった。18年には笠間焼の展覧会をスペインで2度開催するなど、個人レベルで交流した。

今回の登り窯の調査は、博士課程研究の一環で、昨年11月に着手。窯の所有者から稼働時の状況などを聞き取りし、年下の大学院生や学部生の協力を得て測量などもしている。

このうち、久野陶園(笠間市箱田)は今年1月から調査を実施。江戸時代の安永年間(1772〜80年)から続く笠間最古の窯元で、14代目当主の伊藤慶子さん(59)が受け継ぐ。築300年のかやぶきの母屋をはじめ、笠間焼発祥に関わり震災で被害を受けた登り窯、製陶工場内にある旧式のベルト動力ろくろやいろりが時代を感じさせる。

仲根さんは、学生と登り窯などを測量し、当主の伊藤さんから聞き取りをした。それによると、久野陶園では明治後期から昭和初期にかけて20人以上の職人が共同で生活。工場内のいろりでは、暖を取ったり飲酒したりするなど、当時の作業やコミュニケーションの様子が明らかになった。

仲根さんは「今後は社会心理学、文化人類学的な視点を加えて調査をしたい」と意欲を示し、22年ごろまでに論文にまとめるという。「コロナ禍で閉塞(へいそく)感のある中で、伝統やぬくもりのある笠間焼の明るい未来のために、新しい道が開けることを願っている」と話した。



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