2020年5月25日(月)

《新型コロナ》新生活様式 介護現場「無理ある」

3密回避、クラスター懸念

一斉に食事を取るデイサービス利用者。高齢者施設では社会的距離を保つことが困難な場面がある=水戸市開江町、鹿嶋栄寿撮影
一斉に食事を取るデイサービス利用者。高齢者施設では社会的距離を保つことが困難な場面がある=水戸市開江町、鹿嶋栄寿撮影

新型コロナウイルス感染症対策として政府が示す「新しい生活様式」への対応に、介護施設が頭を悩ませている。重症化リスクの高い高齢者を守るため感染対策には細心の注意を払うが、もともと身体的な接触が多い環境で、「3密」が避けられない場面も少なくない。長引く面会制限の在り方やクラスター(感染者集団)発生への備えも課題で、試行錯誤が続く。

要介護者が通う水戸市開江町のデイサービス「双葉陽だまり館」。12日は定員30人のところ27人が利用し、正午すぎには、窓が開放されたデイルームで利用者が一堂に会して食事を取っていた。

フロアの広さは定員に応じた造りで、新しい生活様式が示す対面を避けたレイアウトへすぐに変えるのは難しい。担当者は「利用回数を減らせば、家族の介護離職にもつながりかねない。衛生管理の徹底と、できる限り『密』を回避する工夫をしていくしかない」と話す。

敷地内には特別養護老人ホームなどの入所施設もある。このため、ウイルス侵入を防ぐ「水際対策」に重点を置き、デイサービス利用者には朝の送迎時に乗車前の検温を欠かさず、小まめな換気、消毒にも気を配る。

一方、国は基本的対策として「人との間隔はできるだけ2メートル空ける」「症状がなくてもマスク着用」などを挙げる。だが入浴や食事の介助は「最低1メートル」とされる距離を保つのも難しく、対策を徹底してもらうのは容易ではない。

運営する社会福祉法人「愛の会」法人本部長で、県老人福祉施設協議会の木村哲之会長は「ソーシャルディスタンス(社会的距離)など、新しい生活様式を介護の現場で全て実践していくのには無理がある」と疑問を呈す。

■面会制限9割
同協議会が4月に会員322施設を対象に実施したアンケート(回答率98%)によると、家族との面会の一切を制限したり、みとり期など特別な場合のみに限ったりしている施設は9割を超えた。

利用者や家族の安心のため「オンライン面会」を導入する動きが広がるが、4月下旬には、大阪府の特養で面会制限に端を発した母子の無理心中とみられる事件も起きた。

木村会長は「いつまでも制限を続けていていいのか、現場は判断に悩んでいる」と指摘し、地域の感染状況を踏まえた指針の必要性を訴える。

■応援可能1%
クラスターへの対応も懸念材料だ。実際にクラスターが起きたつくば市の介護老人保健施設では、感染拡大を一定程度に食い止められた要因の一つに感染防護具の充足があったという。

一方で、同アンケートではマスクやガウンなどの感染防護具が充足していると回答した施設は17%にとどまった。近隣施設などで感染が確認された場合の応援態勢についても、職員を派遣できると回答したのは4施設で全体の1%にすぎなかった。

木村会長は「ゾーニング(区分け)の手順や防護具の確保、人員態勢など課題は山積している。緊急事態宣言は解除されたが、今後も警戒は緩められない」と話す。



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