2020年5月31日(日)

北茨城の旅館・民宿 再び一歩踏み出す ラーメン店を開業、仮想ツアーに参加

東日本大震災で被害、新型コロナでも打撃

アンコウを使ったラーメンにトッピングの「あんこうスペアリブ」を載せるまるみつ旅館の武子能久社長=北茨城市平潟町
アンコウを使ったラーメンにトッピングの「あんこうスペアリブ」を載せるまるみつ旅館の武子能久社長=北茨城市平潟町

2011年の東日本大震災で受けた大きな被害から立ち直ってきていた北茨城市の旅館や民宿が、新型コロナウイルス感染拡大の影響で再び大打撃を被っている。ただ中には、地元特産のアンコウを使ったラーメン店を開いたり、旅行会社が企画するオンラインツアーに参加したりする事業者もあり、収益確保やファン獲得に動きだしている。

▽二足のわらじで

同市平潟町の「あんこうの宿まるみつ旅館」は31日、アンコウを使ったラーメン店を旅館内に開業する。3カ月間限定の営業とし、状況次第で延長も検討する。

武子能久社長(44)は「震災の被害を乗り越えたから、今回も越えられると思っていた。しかし新型コロナの影響は規模が大きすぎる」と話し、先が見えない状況に懸念を示す。

新型コロナの感染拡大で旅館は4月12日から休業。緊急事態宣言の全面解除を受け6月には宿泊を少しずつ受け入れる予定だが、これまで客の9割が県外から訪れていたことや第2波への不安から、客足はすぐには戻らないと感じている。

「コロナ危機を受け、二足のわらじで生き残る挑戦をしよう、一歩を踏み出そうと考えた」

ラーメンは、アンコウを使った新メニューの開発拠点として2015年10月に開業した「あんこう研究所」で作り出し、イベントなどで提供してきた。

旅館で提供するあんこう鍋の技術を生かしながら、ラーメン用に調整したスープに濃厚なあん肝を載せる。開業を前に、味をこれまでよりさらに磨き上げるなどして準備を整えた。

新型コロナによる経済への打撃は大きく、財布のひもは固くなることも予想される。「宿泊業や観光業は、態勢を変えられなければ今まで以上に厳しい。難しいかじ取りを迫られていると思う」

ただ、今回の挑戦を“チャンス”とも捉える。アンコウは冬に鍋で食べることが主流だが、ラーメンなら「夏も売れる」。あんこう鍋を食べず嫌いだった人も口にしやすく、後々鍋を食べるきっかけになればと思いをはせる。

武子社長は「ご当地ラーメンとして全国に発信できるようにしたい」と闘志を燃やす。

▽待たず動く

同所の「汐騒の宿 暁園」。仁井田康昌代表(45)は5月2日、東京都内の旅行業者が企画した「オンラインツアー」に参加した。

テレビ会議システムでつないだ全国各地の30人余りの参加者に向け、アンコウのつるし切りを披露。参加者は、事前に配送されていたあんこう鍋セットを自宅で食べながら、旅行気分を満喫した。

宿は震災時、大きな揺れで建物が全壊。1年3カ月もの間休業し、新築して再開した。「やっと震災を越えて盛り上がってきたかなと思っていたのだが」。新型コロナ感染拡大で、予約は軒並みキャンセル。連絡を受けるたびに気分が落ち込んだ。

従業員を抱え、宿のローンも残っている。「寝ている間も『どうしよう、どうしよう』と考えてしまった」。そうした折に舞い込んだオンラインツアーの誘い。「少し気持ちが救われた」

6月から、感染防止策を施した上で宿泊予約の受け付けを再開する。オンラインツアーを通したファン獲得も続ける考えだ。「待っていても何も始まらない。新しいことを考え、動いていかないと」



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