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「部活動再開、注意点は?」新型コロナ感染防止、水分回し飲みは厳禁 水戸協同病院・小林副院長に聞く

「個々の体力差に配慮が必要」と注意点を説明する水戸協同病院の小林裕幸副院長=水戸市内
「個々の体力差に配慮が必要」と注意点を説明する水戸協同病院の小林裕幸副院長=水戸市内


8日から茨城県立高校などで通常登校が再開され、部活動の練習も再スタートを切る。ただ、新型コロナウイルスの感染予防対策が求められるほか、選手たちの体力低下が心配され、熱中症対策も必須だ。再開を前に、スポーツコンディションニングに精通し、J2水戸のチームドクターを務める水戸協同病院の小林裕幸副院長(55)に注意点などを聞いた。

─部活動が再開する。

今までにない大変な感染症。どうしたらいいかという証拠や経験がない。状況に応じて対応を柔軟に変えることが重要になる。

─競技によっては接触プレーもある。

運動をしながらの感染予防は未知の世界。Jリーグ、プロ野球が始まっていく。実験であり、研究。感染力に差があれど基本的にはインフルエンザ対策と同じだ。(新型コロナウイルスは)症状が出ない状態もある。人に感染させずに、運動できるかはこれからのチャレンジ。感染リスクという意味では屋外は比較的低いが、屋内スポーツはよく換気をし、スペースを確保しないといけない。

─マスクの活用は。

全員がマスクをすれば、かなりリスクは下がる。だが、マスクをしたために熱中症になったり、息苦しさを感じたりする。運動前後は必ずマスクを着けてほしい。特に屋内で密接に接触するスポーツに関しては、互いに着用することでリスクは下げられる。

─感染症対策として気を付けること。

飲食をしないことが大事になる。マスクを外して、人と至近距離で食べるということが危ない。水分補給では絶対に回し飲みをしてはいけない。ボトルは個人で管理することが重要だ。

─休校期間中、個々の運動量に差がある。

(練習を再開した)J2水戸の選手ですら、自粛期間を経て体力差がある。すごく個人差がある中で、均一に運動することは危険。配慮が必要だ。どれくらい動いていたか、動けるかは個別に判断しないといけない。(運動を)強要しないということが大事になる。

─チームスポーツとしての調整方法は。

個人の体力にとって負荷が突然上がると適応できない。急に前に戻す、量を倍にするのではなく、無理をしないことが重要。同じくらいの体力の生徒でグループ分けして、メニューを組むことも効果的だろう。

─熱中症のリスクは。

普段から運動している、していないが熱中症のなりやすさに関連する。運動していれば体温は上がる。それ自体が予防に働いている。

─部活動によるけがなどで医療機関に負担がかかるのでは。

現在の医療機関は落ち着いている。地域の開業医さんも受け入れに問題はない状態にある。ただ、けがのほか、発熱やせきがある状態で突然病院に来られたときは困る。事前に連絡を取り、受診の確認をするのが、安全で安心かもしれない。

─お勧めするトレーニングは。

縄跳びはお勧めする。密になることなく、個人個人で負荷を変えることができる。スペースが限られても密にならずにできる。中高生に限らず、踏み台昇降もいいトレーニングになる。

■こばやしひろゆき

水戸協同病院でスポーツコンディショニング外来などを担当。日本体育協会公認スポーツドクター。J2水戸チームドクターを務め、元日本自転車競技ナショナルチームドクター。

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