2020年6月11日(木)

《ニュースを追って》水戸の逆川で魚大量死 住民ら不安の声 環境、生き物「いつ戻る」

農薬原因?水質は回復

逆川で見つかった大量の魚の死骸の一部=5月3日、水戸市内(川島省二さん提供)
逆川で見つかった大量の魚の死骸の一部=5月3日、水戸市内(川島省二さん提供)

水戸市を流れる逆川で5月上旬、コイやウナギなどの魚が大量死した問題は、緑地が整備され憩いの場として親しまれる川だけに、住民に不安を広げた。原因は、環境基準値を超えて検出された農薬の可能性が高い。農薬を保管していた倉庫の火災との因果関係が推定されたものの、保管していなかったとされる農薬成分も川から検出され、県や市が流出源を特定するには至らなかった。水質は現在、平常値に回復。環境保全団体からは「生き物が戻るにはどれだけの時間がかかるか」と懸念の声が上がっている。

■ほぼ全滅

「魚が死んでいる」。市に最初の通報が入ったのは5月2日午前11時ごろだった。住民によると、逆川下流の桜川を含む流域数キロにわたり、魚がたまった状態で大量に死んでいた。散歩の途中で発見した同市千波町の無職男性(75)は「あれだけ魚が大量に死んでいるのは見たことがない」と振り返る。

翌3日、市から連絡を受けた県環境管理協会の担当者が現場に向かった。「水中の生物はほぼ全滅の状態だった」。ハゼやフナなど約15種類の魚、ザリガニや水生昆虫、ミミズの死骸も確認した。県が回収した死骸は数百匹分、約320キロに上った。

同日採取した川の水から、農薬成分10種類が検出された。うち2種類は「公共用水環境基準」を上回った。殺菌剤などに含まれる「チウラム」は基準値の約140倍。毒劇物取締法で劇物に指定されている「1、3-ジクロロプロペン」は約26.5倍だった。回収した死骸の検査は行われず、全て焼却処分された。

■因果関係

市は5月12日、逆川に流れ込む地下水路の泥を調べた。同3日の水質検査結果と同じ10種類の農薬成分が見つかり、そのうちチウラムなど2種類が「土壌環境基準」を上回った。

泥の採取場所は、1日夜の倉庫火災現場近くだった。当初から住民間では「火災と魚大量死に関連があるのでは」との声がささやかれていた。

市によると、倉庫には多数の農薬が保管され、水質検査で検出された成分を含む農薬もあった。ただ、倉庫の管理会社から提出された管理記録には、チウラムだけ取り扱いがなかった。

県環境対策課は「農薬が倉庫から流れ出た可能性は否定できないが、チウラムが水路や川から検出された原因は分からない」との見解を示した。

県は同26日までに計3回、追加で水質を調べた。いずれも農薬成分は検出されず「水環境の回復が確認された」(環境対策課)と結論付けた。

■コイの姿

「自然を築くのは時間のかかること。失うのは一瞬」。ホタルやサケの保全など逆川の環境改善に取り組んできた「逆川こどもエコクラブ」(小島幸子代表)のメンバーは、ショックを隠せない。

水戸市、東海大1年、川島英登史(ひでとし)さん(18)は3歳から活動に参加し、今年で15年目になる。徐々に川の水がきれいになり、生き物が増えていく様子を見てきた。「今回のようなことがまたいつ起こるか分からない。行政などは再発防止に努めてほしい」

6月8日には、コイが十数匹泳ぐ姿が戻っていた。逆川の近所に住む無職男性(70)は「下流から遡上(そじょう)したのだろう。取りあえずほっとした」と話した。

同クラブは27日、詳しい回復状況を調べる予定だ。川島省二事務局長(55)は「環境がどのように回復していくか観察し、今後の保全活動に生かしたい」と前を向く。



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