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《新型コロナ》茨城県の救急医療体制 指定12病院で輪番制 第2波対応「たらい回し」防止へ

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新型コロナウイルスに対する救急医療体制の整備を茨城県が進めている。感染が疑われる救急患者の「たらい回し」を防ぐため、搬送先として県内12の感染症指定医療機関による輪番制を導入。感染の「第2波」に即座に対応できるよう入院調整本部も継続している。一時休止していた北関東3県によるドクターヘリの広域連携も今月再開した。

輪番制は、受け入れ拒否が5件に達した場合などの搬送先として、夜間救急に対応可能な12の指定医療機関を選定。県内を(1)県央・県北(2)県南・鹿行・県西-の二つに分け、それぞれ6病院のうち当番日の病院が原則全て受け入れることとした。

県によると、感染者が急増した4月、県内でも発熱などの症状がある救急患者の受け入れ先がすぐには決まらない事例が発生。このため消防と病院が、患者の観察項目や危険度を共有する「トリアージシート」を作成した上で、消防の受け入れ要請が五つ以上の病院に拒否されるか、現場での滞在時間が30分以上経過した場合は、県入院調整本部の医師が搬送先を直接選定する仕組みを5月上旬から導入。5月半ば以降は、輪番制に移行している。

同本部を束ねる県医療統括監の安田貢・水戸医療センター救命救急センター長は、輪番制について「感染症対策が十分ではない病院が無理に受け入れなくて済む。院内感染が起きるとコロナ以外の治療も止まるので医療崩壊を防ぐことにもつながる。救急隊の評判もいい」と話す。

ドクターヘリの隣県との連携は、重複要請などでヘリが出動できない場合に補完し合うもので、緊急事態宣言解除を受け1日から相互乗り入れを再開した。

同宣言が全国に拡大した4月17日以降、感染拡大防止のため、感染疑いの患者は原則ヘリで搬送せず、現場到着後に医師が救急車に同乗して陸送する方式に変更。栃木県との相互乗り入れも同月下旬から休止していた。ただ、再開後も感染疑い患者の陸送方式は当面の間継続する。

県内で新規感染者は1カ月以上確認されていないが、県は入院調整本部を継続したまま第2波に備える。

今後の懸念はインフルエンザの流行期とも重なる秋から冬にかけての対応。安田医師は「受け入れ対象者が増えた場合、輪番制も現在の12病院だけで十分かは分からない」とした上で、「感染拡大の兆候や問題点は茨城より先に首都圏などで見えてくる。その課題に先手で対策を打っていくことが重要だ」と強調した。

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