2020年8月4日(火)

犬猫殺処分「ゼロ」に疑問の声 19年度、茨城県内 動物愛護団体「一層の対策強化を」

飼育担当者に抱かれる保護犬=水戸市河和田町の市動物愛護センター
飼育担当者に抱かれる保護犬=水戸市河和田町の市動物愛護センター

茨城県が2019年度の犬と猫の殺処分頭数がともにゼロだったと5月下旬に発表したことについて、県内の動物愛護団体などから疑問の声が上がっている。県は同年度、環境省の分類に基づきガイドラインを策定し、集計方法を見直した。「ゼロ」には、攻撃性や病気を理由に譲渡不適合と判断された場合と、収容中に死亡した場合は含まれていない。限りなくゼロに近づけるには、不妊去勢手術の徹底や県民のモラル向上が必要として、団体側は一層の対策を求めている。

■「やり切れなさ」
「ゼロの裏にある何百もの忘れ去られた命を思うとやり切れない思いがある」。県内を中心に犬猫の「個人レスキュー」として60頭ほどの保護、譲渡を経験してきた磯野史子さん(54)は胸中を語る。「不適合」と判断されると集計されない現在の発表方法に疑問を持つ。

磯野さんは「集計方法を変えてまで無理にゼロを使う必要はない。県が前向きに取り組んでいることは理解しているので、飼っている犬猫に不妊去勢手術を徹底していくなど『入り口対策』をより強化してほしい」と強調する。

県内で飼い主の啓発や譲渡会を行う「いばらきのシッポの幸せの会」の一木麻実(ひときまみ)さん(56)は「病気を持っているからといって譲渡不適合と決め付けるのは早い。病気が治り、家庭で飼えるまでに回復する犬猫もたくさんいる」と話した。

■9割程度減少
県生活衛生課によると、譲渡不適合と判断された犬猫を含めた19年度の県内殺処分数は、10年前と比べ犬が約96%減(144頭)、猫が約87%減(424頭)だった。年々減少傾向にあり、これまでの取り組みが表れているという。

同課の担当者は「譲渡不適合と判断された犬猫についても、訓練によって譲渡適性の向上を図っている」として、譲渡頭数の増加と収容頭数そのものを減らすことを意識する。

行政側は、民間団体の協力を得ながら殺処分を減らすための事業に着手している。

水戸市の中核市移行に伴い今年4月に開所した市動物愛護センター(同市河和田町)は、市内の小学生と保護者を対象とした施設の親子見学会を8月から実施する。収容されている犬猫や施設の様子を知ってもらうことで命の大切さを感じてもらい、啓発につなげていく。

■2段階で判定
犬猫の殺処分について環境省は、全国の自治体に対し、(1)攻撃性や病気などで譲渡が適切ではない(2)収容中に死亡(3)その他-の3区分に分類して報告するよう求めている。県は19年度から、この区分に沿って(3)のみを殺処分頭数として集計する方法に変更した。

県によると、譲渡するかどうかの判断は、新たに設けた「譲渡候補犬の選定に関するガイドライン」に基づき、2段階で判定を実施。1次判定は県動物指導センター(笠間市)収容時に、外観の健康状態や攻撃性などを調べる。2次判定は、収容8日目以降に消化器症状を確認するほか、声を掛けたり背中をなでたりしたときの反応など、より詳細な基準で行い、総合的な判断で譲渡適正を決めている。



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