2020年8月18日(火)

《リポート》変わる独居高齢者見守り 感染媒介の懸念で戸惑いも

鹿嶋 マスク着用、離れて会話

距離を取って会話する地域福祉推進委員(左)=鹿嶋市内
距離を取って会話する地域福祉推進委員(左)=鹿嶋市内

新型コロナウイルスの感染拡大で、鹿嶋市で1人暮らしの高齢者を見守る「地域福祉推進委員」の活動が様変わりしている。委員たちは、高齢者の安全・安心を守る使命を果たしながらも、マスク着用や十分な距離を保ちながらの業務を余儀なくされ、距離感への戸惑いや自身が「媒介者」になりかねないという不安を抱えている。地域の「見守り役」の現状を探った。

▽距離は2メートル
「お変わりありませんか」。大同西地区で1人暮らしする勝山英さん(91)の自宅を訪れた同委員の関口博子さん(50)が声を張って話し掛けた。

勝山さんとの距離は約2メートル。コロナ前であれば、関口さんは勝山さんの近くに寄って話し掛けるが、この日は違った。玄関内にも入らず、マスク姿で距離を取りながら、勝山さんの暮らしぶりや体調を尋ねた。

関口さんは訪問後、「声が通りにくく、話しにくさはある。でも自分が感染させてしまうことが怖い」と声を落とした。

同委員は、旧鹿島町時代の1994年、増加傾向にあった1人暮らし高齢者のケアを強化しようと、町独自に制度化。2004年度以降は、市社会福祉協議会の臨時職員として勤務している。現在は約3千人を対象に19人が委嘱されており、小学校区単位で高齢者宅の定期訪問や緊急時の駆け付けなどを担っている。

1人暮らしの高齢者が集まるサロンも昨年度末から中止が続いており、勝山さんも「(関口さんが)来てくれるのを楽しみにしています」と笑顔を見せる。

▽もどかしい
県常住人口調査(7月1日現在)によると、同市の65歳以上人口は、2万1058人で高齢化率31・3%となっており、県の高齢化率29・8%を上回る。市は、65歳以上の1人暮らし世帯を対象に、同委員や民生児童委員、地域包括支援センターに見守り活動を委託している。

市は3月下旬、コロナ下での「見守り方」についてマニュアルを作成。原則は、電話で健康状態や困り事を聞き取ったり、手紙で注意喚起したりする態勢を取り、電話応答がない場合、洗濯物や自動車の有無など生活関連情報から安否確認すると定めている。

高齢者と面会できない期間は4〜6月の約2カ月間。地域福祉推進委員たちからは「実際に会わないと分からないことがある」「もどかしい」と声が上った。三笠地区担当の佐藤恵美子さん(59)は「(高齢者が)大丈夫と話していても、実際は足をくじいている方もいた」と語り、電話確認の限界を不安視する。

▽手探り続く
国の緊急事態宣言全面解除に伴い、同委員の業務は、新しい生活様式に従って自宅訪問する体制へ変更された。しかし、委員たちの間では、高齢者宅への訪問が感染のきっかけになるかもしれないという懸念が尽きない。

県内の感染者が再び増加傾向にある中、波野地区で同委員を20年以上務めてきた久坂清香さん(65)は「顔を見ないと、元気がない、痩せてしまったといったことが分からず心配。ただ、(感染状況によって)再び電話対応となるのは仕方ない」と複雑な表情を浮かべる。

市介護長寿課の担当者は「多様な見守り手でカバーしてきたが、なるべく人と会わない方が良い状況。今後、どのように見守っていけばいいのか」と苦しい胸の内を明かす。

感染症対策を講じながらの見守り継続に向け、市や委員たちの試行錯誤は続きそうだ。



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