2020年9月7日(月)

常総水害5年 (上)
《連載:常総水害5年》(上)自主防災組織が対策、ドローンで被災状況確認

個別の避難行動表普及も

ドローンの操縦訓練に取り組む須賀英雄さん(中央)ら常総市根新田町内会自主防災組織のメンバー=同市中妻町
ドローンの操縦訓練に取り組む須賀英雄さん(中央)ら常総市根新田町内会自主防災組織のメンバー=同市中妻町

2015年9月の関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊し、常総市が大規模水害に見舞われてから10日で5年。これまでハード面を中心に復旧・復興が着実に進むが、近年、台風や豪雨による災害が全国で頻発し、次なる災害はいつ襲って来てもおかしくない状況。新型コロナウイルスとの「複合災害」も懸念される中、同市では水害の教訓を生かし、命を守る新たな対策が進められている。

■得意分野生かす
6日午後、常総市根新田町内会自主防災組織(長谷川照子本部長)の須賀英雄事務局長(69)が自宅近くの広場で、小型無人機ドローンの操縦訓練を他のメンバー2人と行った。

根新田地区は鬼怒川沿いを走る関東鉄道常総線の中妻駅東側に位置する。周囲はのどかな風景が広がるが、5年前の水害では、上流6キロ地点で鬼怒川の堤防が決壊し、地区の9割が床上浸水の被害を受けた。須賀さん宅も1階が浸水し、2階での避難生活を余儀なくされた。

ラジコン操縦の経験が豊富な須賀さんは「得意分野を生かして何かできないか」と考え、ドローンを活用した自主防災組織独自の対策を提案。台風・大地震発生時の屋根の被災状況確認▽罹災(りさい)証明等の写真撮影▽地区の被災状況の確認▽洪水時の水位状況の確認-に役立てる考えだ。

■「自ら考える」
根新田町内会には現在、102世帯が加入。新型コロナの影響で、年3回の防災訓練が全て中止となる中、須賀さんは「(住民は)行政に頼りすぎず、災害を自らのこととして考える必要がある」と訴える。

防災へのドローン活用は全国の自治体で広がり、常総市も18年に操縦士の育成校などと協定を締結し、水害や地震に備える。

同町内会の自主防災組織が使うドローンは縦40センチ、横47センチ。練習すれば操作は難しくないが、飛行許可を受けるには一定の飛行技術や知識などが必要で、8月5日に国土交通省東京航空局に申請し、同19日に許可を受けた。

より安全な避難につなげるため、須賀さんは「防災・減災に貢献する取り組みとしたい」と意気込む。

■災害へ事前準備
自主防災組織は、自治体単位などでつくられる任意団体。同市内では18年時点で97町内会が組織するが、世帯のカバー率は市内全体の半数超にとどまる。

同町内会は、市内の自主防災組織の中でも先進的な取り組みを進める。

5年前の水害で多くの住民が逃げ遅れて救助されたことを教訓に、同省下館河川事務所と協力し、災害時の避難行動を住民が時系列で考える個人単位の計画表「マイ・タイムライン」の普及活動に取り組んできた。SMS(ショートメール)を使った緊急連絡も導入。確実でリアルタイムな情報共有で、昨年10月の台風19号の際も、マイ・タイムラインとともに事前の準備が役立ったという。

これらの取り組みが評価され、同町内会は7月、本年度の「日本水大賞」の大賞に選ばれた。

長谷川本部長(70)は「これらの取り組みが少しでも災害時の役に立てばうれしい」と地道な取り組みを誓った。

★関東・東北豪雨
2015年9月9日に上陸した台風18号や前線の影響で、関東、東北地方を中心に広範囲で被害が出た豪雨災害。常総市では、同10日に鬼怒川の堤防が決壊するなどして、市全体の約3分の1に当たる約40平方キロが浸水、市役所庁舎も水に漬かった。5千戸以上が全半壊する甚大な被害を受け、市内で13人が災害関連死と認定された。



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