2020年9月8日(火)

常総水害5年 (中)
《連載:常総水害5年》(中)避難所運営 コロナ「密」回避急務

収容数減少に自治体苦慮

避難者1人当たりのスペースを広く取ったテント型の避難スペース=6月、常総市鴻野山の石下総合体育館
避難者1人当たりのスペースを広く取ったテント型の避難スペース=6月、常総市鴻野山の石下総合体育館

2015年9月に常総市を襲った大規模水害では、市内外の避難所39カ所に約6200人が避難した。発生直後、各避難所には一時的に人があふれた。ただ、現在の新型コロナウイルス下では、同様の避難対応は難しくなりそうだ。

当時、避難所生活を送った男性は「これからは(避難所に)行けば何とかなるという考え方を変えざるを得ない」と懸念する。

新型コロナの感染拡大は、自治体の避難所運営に「3密」回避という新たな課題を突き付けた。

水害時の市指定避難所は市立小中学校など14カ所あるが、新型コロナ対策による避難スペース確保のため、市はほかに公民館など14カ所の活用も検討。市防災危機管理課によると、世帯ごとに広めにスペースを取り、1人当たりの避難スペースを通常の3・3平方メートルから4平方メートルに広げると、通常の収容数に比べ2割程度減少する見込みだ。

■「在宅」も選択肢
「受け付けで行列ができてしまう」「フェースシールドも必要」

6月上旬、市内の体育館で行われた新型コロナ対策を踏まえた避難所設営訓練。保健師などの指導の下、市職員が簡易テントや段ボールベッドの設置、避難者の検温から避難スペースへの誘導までを確認した。

ただ、これらの取り組みには限界がある。同課の担当者は「(3密を回避するため)自宅で安全確保できる場合は在宅で過ごすなど、避難所以外の安全な場所への避難も検討してほしい」と呼び掛ける。

医療や防災などの専門家らでつくる「避難所・避難生活学会」は飛沫(ひまつ)感染防止と健康状態確認のため、高さ140〜150センチのパーティション設置▽通路2メートルの間隔確保▽雑魚寝防止のための簡易ベッドの使用-などを自治体の災害担当者に提言している。

市民の協力も不可欠になる。市はテントやベッドなど備蓄品にも限りがあることから、「避難者が自前で用意してもらうことも必要になる」と明かす。

■障害者、どう支援
災害時に自力での避難や一般避難所の利用が難しい人を対象とした「福祉避難所」の設置も課題だ。

足に障害のある市内の男性は「ここに行けば絶対に安心という『場所』を示してもらえると助かる。(災害が)起きる前にきちんと避難の手順を確認したい」と訴えた。

常総水害をきっかけに発足した、障害者の支援やサポートを行う「障がい者の防災を考える連絡協議会」(同市)事務局の横島智子さん(64)は訓練に参加し、「個人個人に合ったきめ細やかな対応が必要になる」と指摘した。

最大の懸念は体力がない障害者の避難所での感染リスク。加えて「支援するにも、どの地域にどういう障害のある人がいるかを把握するには個人情報の壁がある」といい、行政との緊密な連携が重要となる。

今年も全国で豪雨災害や大型の台風被害が相次いでいる。自然災害と新型コロナの双方に備えた対策は待ったなしの状況だ。



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