2020年9月15日(火)

「長期政権へ牙研ぐ菅さん」政治漫画家・大和田秀樹さんが自民総裁選語る ボスの雰囲気、すごみ

自民党総裁選について語る漫画家の大和田秀樹さん=都内
自民党総裁選について語る漫画家の大和田秀樹さん=都内

田中角栄元首相を生い立ちから描く「角栄に花束を」をはじめ、政治漫画を手掛ける漫画家の大和田秀樹さん(50)=石岡市出身=に今回の自民党総裁選から受けた政治劇の印象を聞いた。大和田さんは「次の総裁選を見据えた『顔見せ興行』の2人に、そうはさせないぞと長期政権を狙って裏で牙を研いでいる菅さん」との構図で受け止めた。

■明確な意思
菅義偉氏は今回、かねて総裁候補だった岸田文雄政調会長と石破茂元幹事長を押しのけた。大和田さんは「現政権が倒れたわけではない。継承を明確に意思表示した菅さんが最有力になった」と見る。

一時、「ポスト安倍」最右翼と見られていた岸田氏については「ダチョウ倶楽部のギャグのように譲った感じ(笑)。けんか慣れしていないのかなあ」と語る。権力闘争に弱い“お公家集団”とやゆされる岸田派(宏池会)。初代会長の池田勇人元首相を主人公にした漫画「疾風の勇人」も描いた大和田さんだけに、「池田さんは切った張ったが好きだったのだが」と物足りない様子だ。

地方人気に支えられてきた石破氏は今回、3位に終わった。「正体がつかめない。党(を引っ張る)運営はできないのだろう」と辛口の評価。舌鋒(ぜっぽう)鋭く安倍政権を批判してきたが「負けるので何を言ってもいい立場。発言が軽く感じる」と指摘する。

■目つきの違い
各派閥は雪崩を打って菅氏を支持。菅氏の立候補表明を待たず勝負がほぼ決まり、「密室政治」との批判も出た。

「半分はその通りかもしれないが、すごく外の様子を気にしながら密室で決めているのでは。世間にアドバルーンを揚げて国民の反応を見ている」。1996年の衆院小選挙区制導入以降は「選挙に負けやすくなり、しくじると政権が変わる」とその訳を説明する。

今回の総裁選を大和田さんの視点で描くとすれば-。岸田、石破両氏にとっては次をうかがう「顔見せ興行だった」と例え、「本気で菅さんを倒すという目をしていない」。対する菅氏は「けんかをする目つきを見せ、2人を倒そうと牙を研ぐ印象」。この目つきの違いが“ストーリー”の肝になりそうだ。

■正統派の風格
菅氏は3人の総裁候補のうち唯一、非世襲の「たたき上げ」と呼ばれた。小学校卒で宰相に上り詰め「今太閤」と呼ばれた田中角栄氏の流れを組む小渕派に所属していたこともある。しかし、菅氏と田中氏のイメージは全く異なるという。

「角栄さんは一山当てようとする『ヤマ師』。菅さんは政治家を志して秘書になり、経験を積んで市議に当選しステップアップしてきた。正統派に近い」

「令和おじさん」「パンケーキ好き」の菅氏。2000年の「加藤の乱」では、加藤派の1人として党内から森喜朗首相の退陣を迫った過去もある。「かわいいところを見せているけど、政治のキーポイントにいて、けんかの場数は踏んでいる」

菅氏の顔つきを「1950〜60年くらいのニューヨークにいたマフィア」と評した。「細くて一見おじいちゃんだが、実はボスのような雰囲気」と、長期政権の女房役として身に付けた「すごみ」を感じたようだった。

「角栄に花束を」は青年漫画雑誌「ヤングチャンピオン」で連載。単行本は2巻まで発売中(いずれも秋田書店)。



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