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笠間小5年、校内で宿泊学習 避難所生活を体験、譲り合いの精神学ぶ

教室での宿泊を想定し、密にならないようシートの位置を確認する笠間小の教員=笠間市笠間
教室での宿泊を想定し、密にならないようシートの位置を確認する笠間小の教員=笠間市笠間


新型コロナウイルスの影響で学校の修学旅行や宿泊学習が中止される中、笠間市立笠間小は25、26日、防災体験を兼ねた宿泊学習を校内で実施する。同小5年生138人が、感染防止の観点から5〜6人のグループを編成して教室に宿泊するなど、不自由な避難所生活を疑似体験する。コロナ禍での防災を念頭に、命を守る知恵や譲り合いの精神を身に付けるという。

同小では、5年生の宿泊学習を毎年5月に実施している。だが、今年は宿泊施設側が感染防止の観点から受け入れ人数を制限。同小5年生の人数が130人を超える大所帯なため利用できなくなった。

当初は、中止や来年に延期することも考えたが、新しい生活習慣で防災学習に取り組む好機と発想を転換。市の担当部署と連携し、学校内での避難所体験実施に向けて準備を進めた。

同小から要請を受けた市危機管理室主査の近藤智広さん(46)は、東日本大震災時に岩手県釜石市に派遣された。現地で防災や復興に携わった経験を踏まえ、「小学校高学年は健康であれば、避難所で生活弱者を助ける戦力になる。笠間小の防災体験を兼ねた宿泊学習は的を射た取り組みで、もっと広まってほしい」と指摘する。

近藤さんの監修で作成された防災プログラムの中で、ポイントとなったのが宿泊場所だ。本来なら体育館を使用するが、5年生全員が集まって寝泊まりすると感染リスクが高まるため、5〜6人のグループごとに各教室を使用することにした。就寝は布団の代わりに薄いレジャー用シートとタオルケットを使い、まくらもリュックサックで代用するなど、非常時ならではの工夫を求めた。

食事は、火を使わずに食べられるアルファ米を使用し、児童たちはおかずになる缶詰を持参する。夜のレクリエーションも単に楽しむのでなく、避難所生活を想定し、落ち込んでいる人を慰めるすべなども身に付けるという。

石田進校長(59)は「自分の命は自分で守るという意識を持つことが大切。将来、大人になってからは助ける立場にもなる。不便な集団生活の中で生き抜く知恵を身に付け、思いやりや譲り合いの心を育んでほしい」と話している。

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