2021年1月3日(日)

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かつて世の中を「勝ち組」「負け組」に二分する言い方が流行した時があった。しかし変化の激しい現代では勝者である時間は短く、時に逆転も起こり得る

▼明治の実業家で新1万円札の顔に選ばれた渋沢栄一はどうか。金融の仕組みをつくり幾多の会社を興し、日本資本主義の父とも呼ばれた偉大な男。実は明治維新の当初は負け組だった

▼そう指摘するのは千葉県松戸市戸定歴史館の名誉館長、齊藤洋一氏だ。同館は「最後の将軍」徳川慶喜の弟で水戸藩最後の藩主を務めた徳川昭武の関係資料で知られる

▼昨年、県内で齊藤氏の講演を聞く機会があり、渋沢は水戸に深い関わりがあると知った。若い頃に討幕を企てて失敗。曲折を経て一橋徳川家に召し抱えられる。その縁で昭武の随行役としてパリ万博へ。経済発展の著しい西欧諸国の現状を目の当たりにした

▼お仕えした殿様が身分を失ったのだから確かに負け組である。しかし、その経験が実業家としての基礎を築いたのだから人の運命は分からない

▼1万円札の顔は今年の大河ドラマの主人公。激動期を生きた人物がどのように描かれるか興味深い。負け組と片付けられがちな茨城の近代史も、渋沢によって新たな光を放ち始めるかもしれない。(飯)

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