2021年4月2日(金)

《新型コロナ》クラスター発生、水戸の居酒屋 店長、再起へ新事業 宅配サイトで農業応援

店内で新事業について紹介する岡林基矢さん=水戸市白梅
店内で新事業について紹介する岡林基矢さん=水戸市白梅

新型コロナウイルスのクラスター(感染者集団)が昨夏発生し、店名を公表されて経営危機に苦しんだ水戸市内の居酒屋店長が、再起を懸けて新事業に乗り出した。偏見や差別、風評被害に苦しみ、今年に入りようやく立ち直りかけた矢先、県独自の緊急事態宣言により営業を自粛した。「この調子では持たない」と、友人と2人で会社を設立、農業など第1次産業を応援する宅配サイト事業を3月からスタートさせた。店と新事業の「二足のわらじ」に挑戦する形で、再び前を向く。

▼暗転
店は同市白梅の「居酒屋ごじゃっぺ」。岡林基矢さん(45)が10年前から経営する。3月11日がオープン日で、開店2時間前、東日本大震災に見舞われた。

2度目の不幸は昨年8月。新型コロナ「第2波」の中、自身も感染するクラスターが店で発生した。絶体絶命の経営危機に加え、「オーナーは謝らないの?」などとネットでたたかれ、感染と関係ないスタッフまで中傷を受け、差別にさらされた。

同業者や常連客、友人らの励ましで何とか前を向けた。店はその後も厳しさが続いたが、昨秋には客足が戻ってきた。好転の兆しが見えた矢先の「第3波」だった。年末年始、一番の稼ぎ時に全国で感染者が急増。2021年の年明け後に県が独自の緊急事態を宣言すると、復調は泡と消えた。「自粛要請の協力金も、うちの規模では家賃と光熱費で消えてしまう」

▼共感
感染防止で会食を控える動きが広がり、心が折れた。「人との触れ合いが好きで(店を)やっているのに。やりがいがない」

そんな時、耳にしたのが農家の苦境だった。客でもある友人が「せっかく作った野菜を自分でつぶしている。出せば出すほど赤字になる」とこぼした。飲食に関わる業種が皆、苦しんでいた。

同じサービス業を営む10年来の友人と「何か考えなきゃ」と思い立ち、産地直送、宅配の事業を見つけた。3年近く休眠状態だったサイトの使用権を取得。第1次産業を、地元の農業を助けよう-。サイト名は「My Farmer(マイファーマー)」。休眠していたとはいえ、利用者は全国に1万人、産地も183件の登録があった。

▼貢献
サイトは野菜や果物、土産品などの販路拡大に貢献でき、宅配なので人との接触が少なく済む。新会社の営業を担い、知り合いの農家を誘って少しずつ登録産地を増やしている。

店は厳しくても続けるつもりだ。「大きなテナントに移らないか」と誘われても、「今のままがいい」。何よりなじみの客を失いたくない。

「茨城の物産PRにサイトを使ってもらえたら。定額で毎月届く定期便もある。イチゴ1パック、メロン1個からでも使える」と新事業に懸ける。

クラスター発生の経験から半年以上たち、笑い話にできるようになった。いつか状況が良くなると信じ、目の前の仕事に精を出す。



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