2021年4月8日(木)

茨城で10〜20代乱用深刻、大麻軽視に警鐘 「無害」「依存性なし」誤認蔓延

大麻入手抑止を呼び掛ける県警のツイッター公式アカウント
大麻入手抑止を呼び掛ける県警のツイッター公式アカウント

■専門家、啓発に苦心
若者の大麻乱用が深刻化している。昨年1年間に大麻取締法違反で茨城県警に摘発されたのは78人で過去最多となり、その8割近くを10〜20代が占めた。なぜ大麻に手を染めるのか、主な理由は「健康被害や依存性がない」という誤った認識が蔓延(まんえん)していることだ。インターネットが入手手段として普及したのに加え、海外では使用が合法の国があることも有害性の軽視に拍車を掛けている。専門家はいかに啓発するか苦心している。

■「やめられる」
2月上旬、水戸地裁で20代の男の公判が開かれた。自宅で乾燥大麻約1グラムを所持したという大麻取締法違反罪。男は裁判官にこう弁解した。

「体に害もないし、他人に迷惑を掛けることもない。いつでもやめられると思っていた」

男は20歳で大麻に手を出した。「仲間がやっているから自分も面白半分で吸った」のがきっかけ。以降、常習的に使用した。「金があるとつい買っちゃう。酒を飲む感覚だった」と罪の意識の薄さをにじませた。

依存症の回復を支援するNPO法人「潮騒ジョブトレーニングセンター」(鹿嶋市)の栗原豊センター長は「他の薬物に比べてましなだけで、大麻は決して安全ではない」と強調する。

長期的な使用による幻覚や妄想、記憶力低下に苦しむ入所者を多く見てきた。「依存者ほど依存性を認めず、自己正当化するための言い訳を探す。無害なんてあり得ない。逮捕されればさらに人生は狂う」

■転落の入り口
大麻は「ゲートウエー(入り口)ドラッグ」と呼ばれ、より強い刺激を求めて他の違法薬物に手を伸ばす危険があると指摘される。

大麻歴30年という同センター入所の40代男性は、高校1年の時に初めて使用し、5年後にはエクスタシーやLSDと呼ばれる合成麻薬、コカイン、そして覚醒剤に手を出すようになった。

「大麻は他の薬物と相性がいい」と男性は言う。「覚醒剤を使った後、効果が抜ける時に心身がしんどくなる。そこで反動を和らげるために大麻を使う」

男性はこれまで薬物関係で数回逮捕され、計5年8カ月間服役した。「覚醒剤はもう懲りた」と話す一方、「大麻は自分の中で悪者になってくれない。今後もたぶん吸ってしまう」と打ち明ける。

栗原センター長は「本音で話せるようになるのは回復の兆し」としつつ、依存の深刻さを憂いた。

■合法化の実情
世界では鎮痛目的などで医療用大麻を認める国が増え、「無害」と誤解する若者が多い。

湘南医療大の鈴木勉特任教授(薬理学)は「医療用大麻といっても、一部の有効成分を抽出して使うのであって、大麻そのものを医薬品として使うわけではない」と指摘する。

嗜好(しこう)用大麻が合法化されたアメリカの一部の州などは「すでに抑え切れないほど広がり、仕方なく容認した側面が大きい」と鈴木氏。「日本は国民の大麻生涯経験率が1%台。わざわざリスクを冒して合法化する必要はない」と断じる。

大麻は他の違法薬物に比べて安価で、若い世代でも会員制交流サイト(SNS)などを通じて容易に入手できる現状にある。

県警は昨年10月から、ツイッターで注意喚起を始めた。「#草」「#野菜」など、大麻の隠語にハッシュタグ(検索目印)を付けて投稿することで、大麻を入手しようと検索した際に目に付くよう工夫した。

県警薬物銃器対策課の担当者は「大麻は反社会勢力の資金源になっている。危険性や、勧誘に乗らない対処法を周知していきたい」と話した。

県警の大麻取締法摘発者数推移
県警の大麻取締法摘発者数推移


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