2021年4月8日(木)

茨城県立高入試、採点ミス 再発防止へ改革 人的エラー前提に

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■日程や要員、環境確保急務
今春と昨春の茨城県立高入試などで発覚した計千件近い大規模な採点ミス問題が、県教育界の信頼を揺るがしている。再発防止の議論が求められる中、現場の教員からは「人的なエラーを前提としたシステムが必要」といった抜本的な改革を求める声が上がる。過去に同様のミスが判明した他県では、マークシート方式の採用に踏み切ったところもある。県教委は8日、第三者委員会での検証をスタートする。今月中にもまとめられる再発防止策などに、県民の厳しい視線が注がれている。

■仕組み機能せず
これまでに確認された今春、昨春の採点ミスは、県立高入試が69校、計953件、県立中・中等教育学校が9校、計35件。計4人が追加合格した。

問題拡大は、3月17日の牛久栄進高でのミス発覚と追加合格に端を発する。県教委の指示で過去2年分の採点を順次、点検したところ、各校で採点ミスが相次いで見つかり、県立高11校が昨春分の答案を誤廃棄していたことも分かった。

採点業務は各校の教員が担当。解答の正誤と配点をそれぞれ3人ずつで確認する仕組みだが、十分に機能していなかった。採点する期間は昨春まで1日間の設定で、今春は最大2日間に増やしていた。

■記述式の負担
「これは大変」。県立高の50代男性教員は、今春の入試問題を見て心配した。社会の設問のうち、部分点の対象となる記述式が約半分を占めたからだ。

部分点は学校ごとに基準がある。男性教員は採点業務2日目に、9時間以上ほぼ連続で答案と向き合い「作業中に(意識が)もうろうとした時もあった」。

県立高の今春入試のミスのうち、配点や部分点の誤りは113件で2番目に多く、昨春は最多だった。県教委によると、近年は思考力、判断力、表現力を身に付けさせる学習指導要領を踏まえた出題傾向という。

男性教員は自身の学校でもミスがあったといい、厳しく受け止めつつ「真剣にやっていた。人的なエラーを前提としたシステムが必要」と主張。記述式問題の縮減や日程・要員の余裕確保、採点の外部委託、マークシート方式導入といった案を掲げた。

採点期間中に授業は行わないが、別の県立高の30代男性教員は「保護者や生徒への対応はあった。一つのことに集中できる環境にない」と指摘する。難しい記述式採点の傍ら「選択式などの問題に気が回らず(他教員の誤りに気付かないで)引っぱられることがある」とも打ち明け、再点検日の設定を訴えた。

■マークシートも
マークシート方式導入などの再発防止策は、他県で既に講じられている。

神奈川県は2015、16年春の県立高入試で計500人分以上のミスが発覚。17年春から、記号選択式問題の解答部分にマークシートを採用した。同県教委の担当者は狙いとして「記述式問題の採点に専念する時間の確保とヒューマンエラーの防止」を挙げる。

同県ではほかに、記述式問題の2系統での採点・点検と擦り合わせ、解答用紙への採点・点検欄設置、全受検者への答案用紙(写し)の交付などの対策が取られている。一方で今春、抽出再点検をきっかけに記述式問題で8人分のミスが判明。防止が、いかに難しいかを物語った。

茨城県教委は第三者委員会での議論などを経て、今月末までに原因を究明し、再発防止策や関係者処分の方針を出すという。

それに対し、一部の教員からは「現場の声をしっかり吸い上げ、時間をかけシステムを再構築すべき」と、拙速を懸念する声も聞こえる。

県民の信頼回復へ険しい道は続く。



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