2021年5月5日(水)

つくば竜巻9年 防災科研技術、予測精度を向上 市町村単位で1時間先まで

防災科学技術研究所の雲レーダーと岩波越総括主任研究員(左)と下瀬健一主任研究員=つくば市天王台
防災科学技術研究所の雲レーダーと岩波越総括主任研究員(左)と下瀬健一主任研究員=つくば市天王台

茨城県つくば市を襲った2012年5月の竜巻災害から6日で9年。国内最大級の竜巻災害をきっかけに、気象レーダーの開発や整備が進み、難易度が高いとされる竜巻予測の精度向上に向けた研究が進む。防災科学技術研究所(防災科研、つくば市)は、最新の気象レーダーなどを使い、市町村単位で1時間先までの竜巻の危険度を予測する技術を開発。同市や日本気象協会と連携し、強風や豪雨の危険度の予測情報をメールで配信する実証実験を行い、技術の活用方法を探っている。

■危険な積乱雲

「危険な積乱雲をいち早く見分け、竜巻や豪雨、落雷などの危険度の予測技術の開発につなげている」。竜巻などを引き起こす積乱雲の研究を行う下瀬健一主任研究員は力を込める。

防災科研は12年以降、積乱雲を追跡し、移動の速さや向きを求めるシステムなどを開発。埼玉大に設置した最新型の気象レーダーの観測情報と組み合わせて、市町村単位で1時間先までの竜巻危険度を予測する技術を開発した。

竜巻は、台風などに比べて気象現象が局所的で、継続時間も短いため、発生する場所の予測は難易度が高い。

下瀬研究員は「予測の範囲が県全域などの広域になることが課題だったが、この技術の活用で、より絞り込んだ範囲での予測が可能になる」と話す。

実際に18年8月27日午後6時にさいたま市北区などで発生した突風では、埼玉県全域ではなく、同市を中心に同県の東側の一部に絞った範囲で予測が可能だったという。

■市と連携

開発した技術を役立てようと、防災科研は18年から、豪雨被害などの多い夏の時期に、つくば市や日本気象協会などと連携し、事前登録者に対し豪雨や突風の予測をメール配信する実証実験を行っている。

20年は9、10月に実施。市内の小中義務教育6学校と、市役所の15課室の職員らに協力を仰いだ。事前に地点を登録してもらい、ゲリラ豪雨の予測や竜巻の危険度などの情報を配信した。

市職員向けには、リアルタイムで雨や風の分布図が見られるウェブサイトのURLを添付し、詳細情報を得られるようにした。

同市は14年に防災科研と基本協定を締結し、連携を進める。実験の協力だけでなく、市の職員向けの図上訓練などに防災科研の職員の協力を仰ぐこともある。市危機管理課の担当者は「専門家の意見を聞けるのでとても助かる」と話す。

防災科研の岩波越総括主任研究員は「引き続き、(研究結果を実際に社会で使われるようにする)『技術の社会実装』についても研究や改善を続けていきたい」と話した。



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